近海のビッグゲームとして人気の相模湾のキハダキャスティング。相模湾周辺海域を含め、今年は当たり年になりそうだ。今回はタックルのキモを徳永さんが指南。しっかり準備して大物をゲットしよう。
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釣り経験はあるものの、ビギナーレベルから抜け出せずにいる30代男性。オフショアゲームでエキスパートを目指すべく奮闘中。東京都在住。
徳永兼三(とくなが・けんぞう) 東京都大田区でプロショップ『BASS MATE』を経営するエキスパートアングラー。バスフィッシングからマグロ、GTといったビッグゲームまで幅広くこなし、国内外のフィールドに精通。これまでに数々のレコードフィッシュを釣り上げている。
池貝雅俊(いけがい・まさとし) バスフィッシング、シーバス、近海のオフショアなど関東周辺のルアーゲーム全般に造詣の深いバスメイトの店長。タックルに関する知識も豊富で、店内で扱う商品在庫のすべてを把握していると言っても過言ではない。
相模湾キハダマグロのアベレージは10~30kg。大型の期待も大!
徳永さんこんにちは。今年は相模湾のキハダマグロが良さそうという噂を小耳に挟んだんですが、本当ですか?
さすがヤップ君、情報が早いですね。そうなんです、相模湾のキハダマグロ、正確に言うと千葉から神奈川までの関東エリアでは、5月の時点ですでに釣果が出ていたんですよ。
それって例年より早いですよね? いつもこんな感じでしたっけ?
早くても6月の声を聞いてから、というのがいつものパターンですから、今年は早いですね。ここ数年は相模湾にキハダマグロが入ること自体少なくて、湾の外側まで足を延ばすことも多かったんです。でも去年、今年はもっと広いエリアで魚影が見られ、近場でも釣れています。
回遊の時期もエリアも、いつも同じじゃないんですね。なんで年によってそんなに違うんだろう?
大きな要因は黒潮の蛇行にあるんです。例年は黒潮が沖を通っていて、その分流が相模湾に入る形ですが、今年は本流が関東に近いところを通っているため回遊も早いと考えられます。
サイズはどのくらいを想定しておけばいいかなあ・・・。ビギナーのボクとしては20kgくらいで十分なんだけど。
アベレージは10~30kg。そのなかで40~50kgの群れも入ってくるという感じですね。ただ、魚のサイズは選べませんからね。乗合の場合はあまり時間をかけるのもNGだし、ド級が来ても困らないように準備しておくことが大切ですよ~。
脅かさないでくださいよ~。大型だとどれくらいが出るんですか?
50~60kgは十分に可能性があります。年によっては70kg~80kgまで出ていますよ。今年は黒潮が近いので、すでに大型の群れが回っています。
ちょっとビビりますが、それだけ今年は期待大ということですね。燃えてきました。
キハダキャスティングのタックルはPE4号と6号の2セットあると安心
しかしそうなると、タックルも大型を想定しておかないとダメですね。
そうですね。基本はPE4~5号のタックルですが、大型がいるなら6号タックルも必要になります。ワンタックルですべてをカバーするのではなく、30kgまでのキハダマグロが多ければ4号~5号のタックル、50kg、60kgの群れには6号タックルと使い分けるのがおすすめです。
もしもそんなのが来たら6号でも心配だなあ。ヒラマサ用に買った8号タックルを持っていくか・・・。
たしかに、大きい個体の群れだったら8号タックルでも良いくらいですよね。ただ、この時期のベイトはカタクチイワシなどの小型魚が多いため、キハダマグロがいくら大きくても、使うルアーは基本、小さいんです。あまり強すぎるタックルだと飛距離が出せません。キハダキャスティングでの飛距離は釣果を左右する重要なカギになります。
主に使うルアーのサイズはどのくらいですか?
ベイトがサバやワカシだったり、サンマだったりすれば100g前後のプラグがメインになりますが、カタクチイワシだと40~60g。8号タックルではちょっと厳しいですね。
了解です。PE4~5号タックルと6号タックルの2セットを持っていれば、ほぼ対応可能ということですね。ロッドの長さはどのくらい?
船のサイズにもよりますが、基本は8ftから8ft6inc・・・いや8ft4incくらいまでがオールマイティーですね。イメージ的に2incの差は大したことないようでいて、実際はかなり大きな差を実感します。
ロッドのパワーは適合ルアーウェイト40~60gを目安にすればいいですか?
う~ん、上限が60gだとかなり軟らかくなってしまいますね。小型ベイトに交じってトビウオなどがいることもあるので、適合ルアーウェイトは40g~100gくらいまでカバーできることが理想です。そんなロッドなら、慣れてくれば120gくらいのルアーも投げられると思います。
ロッドはヒラマサキャスティングのものを流用できますか?
はい、ヒラマサとマグロはある程度ロッドを共有できます。ライン号数とルアーウェイトが合っていれば大丈夫です。CB ONE、MC works’、ソウルズ、パッションズ、リップルフィッシャー、カーペンターなど、名の通ったメーカーさんのものなら間違いありません。もちろん、ロッドごとに特色はあるので、購入の際はお店で相談して、可能なら曲げさせてもらいながら選ぶといいですよ。
キハダキャスティング用リーダーは80lb前後。ナイロンが絶対に有利
リールはどんなものを選んだらいいですか?
14000番くらいのハイギアタイプがオススメです。これもヒラマサのときに揃えてもらったもので大丈夫です。
で、ラインはさっき教えてもらった通りPE4~6号で2セット組むと。リーダーは何号がおすすめですか?
一般的にリーダーはナイロンの80lb~100lb。号数で言うと20号から24号が標準になります。
やっぱりリーダーはナイロンなんですね。シーバスのコノシロパターンやヒラマサキャスティングのときに教わったのと同じ理由ですか?
その通り。キャスティングゲームで太い号数のときは基本ナイロンです。ジギングと違い、しなやかなラインでないとガイド抜けが悪かったり、エアノットができたりして使いにくいんです。
擦れにはフロロのほうが強いと思いますが、そこはあまり気にしなくていいということですね。
キハダ釣りでは根に擦られることはないですからね。群れの中で掛けた場合、まれに他の個体に擦れることはありますが、それはほとんどがメインラインです。そう考えるとキャスティングゲームでは10号・40lbを超えたら圧倒的にナイロンが有利ですし、ここまで太ければ擦れに対しても十分な強度があります。
ちなみに徳永さんのリーダーシステムはどんな感じですか?
私はXBRAID (エックスブレイド) のTP3を愛用しています。このリーダーは、必要十分な直線強度を確保したうえで耐摩耗性や耐衝撃性をより高めるというコンセプト。非常に使いやすく気に入っています。
長さはどのくらいとってますか?
長さは1ヒロ半、約2m50cmです。リーダーの長さはヒットする魚の体長より長ければOKということと、私はキャストの際にPE部分を指に掛けるので、リールに巻き込まない長さにしています。
リーダーに傷が入ったときのために、スペアスプールも準備しておいた方が安心かな。荒れていたら船上で組み直すのも大変そうだし。
私の場合はリーダーに不具合が見つかったらその場で結び直していますが、スペアスプールを持っておくのも手ですね。
相模湾キハダキャスティングのルアーセレクトとフックセッティング
ルアーはどんなタイプが必要ですか?
ダイビングペンシルとポッパー、ジグミノーが代表的です。サイズはできるだけベイトに近いものを選びますが、トップウォータープラグは多少サイズが大きくても、スプラッシュやバブルでカモフラージュすることが可能です。
カラーは・・・、キハダマグロは目が良さそうだし、イワシっぽいリアルなもののほうが効きそうですね。
そうですね、基本的にはリアルでナチュラルなカラーが中心になります。とくに全身が水中に入るシンキングのプラグは、ナチュラルカラーが有利です。ただ鳥が多くいるときのトップウォータープラグは、鳥を避ける意味であえてピンクなどの派手なカラーも使います。
おススメのルアーやブランドはありますか?
たとえば菊池工房のバブルスイマーなどは小口径ポッパーの先駆けで、この釣りをリードしてきたルアーですね。また同じく菊池工房のBz’シリーズもナブラ打ちのジグミノーを世に送り出した最初のルアーの一つで、どちらのルアーもキハダキャスティングでは定番です。ほかにもカーペンターやCB ONE、SOULS、萬葉、クルペンなどハンドメイドメイドに良いものがたくさんあるのですが、なかなか手に入らないのが玉に瑕です。見つけたら買っておくのも一つの手ですね。また量産メーカーのなかにも良いものがあるので、最初はこれらも用意すると良いですよ。
フックはシングルでセットするほうがいいですか?
いえ、トレブルでいいでしょう。シングルは掛かればバレにくいという利点はありますが、よほどチューニングをうまくしないと泳ぎが出ないこともあるんです。
え、フックのウェイトを合わせればバランス的に問題ないんじゃ?
重さもさることながら、実はトレブルフックの水中抵抗もルアーの動きを司る大きな要素なんです。フックに関してはあくまでもメーカー側が推奨するものを原則として、それ以外のサイズやシングルフック、ツインフックなどは状況を見て検討すれば良いでしょう。
水中抵抗ですか。たしかにトレブルからシングルに変えると抵抗が少なくなって、本来の動きから抜けたような動きになる気がします。
ただ、シングルフックはトレブルフックに比べて大きなサイズを使えるので、小さなフックが付いたジグミノーで大きなキハダマグロを狙うような場合は、大きめのシングルフックに変えると効果的です。
フックが大きすぎて警戒されることはないですか? それと魚のダメージも心配なんですけど。
フックが若干大きくても魚は関係なく食ってきますが、ルアーのバランスは大切です。魚に対するダメージも、トレブルだからダメージが大きい、シングルだから軽いということはありませんよ。
トレブルだろうがシングルだろうが、魚の口に掛かるのは1本ですもんね。ダメージつながりでバーブレスはどうですか?
船さんによってはバーブレスフックを推奨されることもあると思いますが、その場合でも魚のダメージというより、アングラーの危険防止という意味合いが強いですね。もし船さんで言われたら、プライヤーでカエシを潰すようにしてください。
キハダキャスティングの出船場所は湾内全域のほかに東京・千葉も。
いざキハダマグロがヒットしたら頭が真っ白になりそうですが、一応ファイトの注意点なんかも教えてもらえますか?
キハダマグロの釣り場は根がない沖の海域ですから、最初はラインを出すことを怖がらずに走らせて、ラインの抵抗でプレッシャーをかけるのが得策です。ラインのウォータープレッシャーは魚にとってかなりの負担になるんです。
ドラグは緩めってことですか?
はい、ただドラグがあまりにも弱いと魚が弱らないので注意してください。それにスプールが過剰に回転すると、30kgくらいのキハダマグロでもドラグが焼き付いたり、熱ダレで溶けてしまったりで、まったく効かなくなってしまいます。
さっきも言われたように、乗合船では無限に時間をかけることもできないですしね。具体的にはどのくらいに設定するのが良いですか。
ドラグ設定はPE4号なら4kg、6号なら6kgというように、ラインの号数を目安にすればいいんじゃないかな。できればドラグテスターやバネばかりを使って、出船前にしっかり調整してください。
ヒラマサの場合、最初はドラグ値を高めにして対処するのが普通ですが、それとは逆なんですね。
そうです。最初は走らせて、勢いが止まったら様子を見ながらプレッシャーをかけていきます。ドラグを締めるほかにも、ハンドドラグでスプールを軽く押さえてブレーキをかける方法もおススメです。そのときのためにグローブもしておくと良いですよ。
あとは船に予約を入れればすぐにでもチャレンジできますね。出船場所はどこにしようかな。
相模湾に限らず、ここ20年くらいで関東近海のキハダキャスティングはすっかり定着して、東京、千葉からも出船可能ですし、神奈川なら三浦半島から平塚、小田原まで全域に遊漁船があります。今年はすでに当たり年の気配がムンムンとしていますので、ぜひ初キハダマグロをゲットしてください。
■取材・文/高橋大河 Taiga Takahashi
◎INFORMATION
フィッシングプロショップ バスメイト
所在地:東京都大田区東矢口3-6-7
TEL:03-3735-0200
定休日:毎週月曜日
HPアドレス:www.bassmate.co.jp
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