指示されたレンジに確実にジグを届けることが大切

ビンチョウの適正水温である水帯、その水帯のなかで潮目ができるようなところ、ベイトフィッシュが存在するところ、トリヤマが出来ているところなどを中心に攻めていくのが基本です。

船長の仕事にはなりますが広い海の中からビンチョウの群れを探すことはなかなか難しく、これが身近な釣りでありながらも博打的な要素を併せ持つトンジギの特徴でもあります。ビンチョウを釣る前に腕のいい船長を選ぶことが大切な理由です。

ビンチョウの群れやベイトの群れを魚探で捉えた船長から投入の合図が出ます。

指定されたレンジまでジグを沈めることが基本中の基本となります。狙うレンジの目安は30メートルから200メートル超と幅広いのが特徴です。トンジギでは基本的に底は取りません。ビンチョウは中層を回遊する性質を持っているからです。

指示されたレンジまでジグを沈めることは、浅場を攻める釣りであれば比較的簡単です。しかし、深場を狙うことが多かったり、潮流の速いフィールドを狙うことが多かったりするトンジギでは、中層の特定のレンジにジグを沈めることは想像以上に難しいこともあります。加えて、船を風と潮に任せて流していく「ドテラ流し」を基本とするトンジギでは常に船は移動していくことも難しさをアップします。

ジグが真下に落ちていく状況なら放出しているライン=ジグが沈んでいるレンジですが、船が流されたり、潮流が速かったりする場合はジグが船から斜めに落ちていくことになります。

100メートルのレンジにジグを沈めるために130メートルのラインを出さなければいけないこともあります。これは決して珍しいことではありません。さらにジグを2回、3回と落とし直すと放出されるラインはさらに増し、100メートルのレンジにジグを沈めるのに150、160メートルといったラインが必要になることもあります。

しっかりレンジにジグを届け、シャクり続けた人だけが釣果を出すのがトンジギだ。

理屈の上ではラインが払い出しているおおよその角度と船長が指示する水深が分かれば「ピタゴラスの定理」を応用すると放出するラインの長さが分かります。

しかし、釣りをしている最中にそんなことやっていられない! というのもごもっとも。船上ではおおよそで大丈夫です。それでも指示されたレンジと放出するラインの長さの関係はラインの払い出している角度とともに常に意識しておく必要があります。

魚までジグが届かなければ釣れません。1回の投入で何回も落とし直すと、どんどんラインに角度がついてしまいます。角度がついてしまうとジグの動きも悪くなってしまいます。

潮流の速さや船が流される速度にもよりますが、30度くらいまでを目安に、それ以上に角度がついたら回収して再投入を心掛けるとよいでしょう。

指示ダナが浅ければ1回の投入ごとに回収したほうが釣果が上がるでしょう。面倒がっていてはなかなか釣れない、と考えておきましょう。

北風を受け、揺れる船上で1日ヘビなージグをシャクる、そんな過酷な釣りになることも少なくないのがトンジギだ。

チャンスタイムは短い。休むことなく釣り続けることが大切

指示されたレンジにジグを届けたら、思い思いのアクションパターンを試してビンチョウの反応を伺います。

基本はワンピッチ(ワン)ジャーク、つまり1回ロッドをジャークするごとに1回リールのハンドルを巻くアクションパターンです。スピードはときに速くするといいときもありますが、基本的にはミディアムスピードを基本にします。ハンドル1/2回転で細かく探ってみるのもよいでしょう。

トンジギはハードなジギングなので、1日釣り続けられるよう、張り切りすぎることなくシャクり続けることも大切です。スロースピードでもヒットは望めるので、休まないで釣り続けられる、自分のペースで釣ることが大切です。

写真はスロージギングスタイルでのジャークシーン。いずれのスタイルでもしゃかりきになってシャクる必要はない。

ビンチョウはさまざま演出に反応します。上げ上げがよいときもありますし、しっかりフォールアクションを入れなければ食ってこないときもあります。固定観念を持つことなく、さまざまなパターンを試してみるとよいでしょう。

自分でヒットパターンに辿りつけば問題なし。しかし、自分が釣れず他のアングラーは釣る、という状況もあります。そんなときは、その演出法を真似ることも大切です。

ビンチョウは群れで回遊しているので誰かにヒットしたときは連続ヒット! となることも多いのが特徴です。誰かにヒットしたときは周りに他の魚がいる、と仮定して、少し速巻きするとドンっとヒットしてくることもあります。覚えておきましょう。

チャンスタイムに休んでいるのは厳禁。1日でチャンスは1回だけ、ということもあるので、とりわけ時合と感じるときは集中して釣ることが重要です。

相手に主導権を与えず、常にプレッシャーをかけてスピードキャッチを心掛けよう。

ファイトは力強くスピーディーに行うことが大切

アタリは明確にドンっと伝わってくることも多いですが、深場を釣ることもあってトンッ、コツッという感じで小さく出ることも少なくありません。

フォール中などは放出されるラインが止まるなど、より小さく出る傾向もあります。変だなと思ったらとにかくリールを巻いてラインを張ることが大切。ビンチョウがジグを口にしていれば重みを感じるはずです。

重みを感じたらラインを緩めることなく1~2度しっかりロッドをあおってアワせることが重要です。しっかりフッキングすればあとは思う存分やり取りを堪能すればOK。

根ズレの心配はありません。ドラグさえしっかり調整しておけば大丈夫。ロッドの角度をあまり変えないよう、ラインが弛むことがないように意識して、相手が走るときに走らせる。走りが止まったらグイグイと寄せ、相手が走り出したらラインを放出して走らせる、というやり取りの基本を繰り返します。

タネトンサイズともなればしぶとく4~5回走ることもありますが、中トン以下では2~3回の走りをしのげば意外とすんなり寄ってくるはず。

あまりに大事に、弱すぎるドラグ設定などでファイトすると時間が長引いてしまいます。ビンチョウの口は意外に軟らかいので傷んでしまい、バラシの原因を誘発することになります。

船に寄ってから、姿が見えてからが一番バラシが多くなるタイミングです。姿が見えたら頭の向きを確認して進行方向から引っ張るようにして力強く寄せることが大切。

最後はしっかりリーダーを巻き込んでから、船長や助手の方がさし出すネットに誘導することが重要。すくってもらうのではなく、ネットまで引き寄せる意識を持ってランディングします。ネットに魚体が入ればOKです。

ネットから飛び出したり、ギャフが外れたりという予期せぬトラブルに備え、ラインをフリーにすればファイト終了です。

船縁近くまで寄せてからフックアウトは多い。何度も走らせずに一気に勝負を決めたい。

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