アイキャッチ画像提供:佐野ヒロム
クロマグロ・キハダマグロ・ヒラマサを追い続けるマスターアングラー、佐野ヒロムさんが最強フック「ビーストエッジシリーズ」を徹底解説。開発秘話からルアーに合わせたフックセッティング、自作についてのコツ、ツイン&シングルシステムの利点まで、ビッグワンを獲るための秘訣を余すことなく紹介します!
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アメリカへのクロマグロ遠征釣行がビーストエッジ誕生のきっかけ
ビーストエッジシリーズ」が誕生したのは、とある釣行がきっかけだったそうですね?
「ビーストエッジが生まれたのは、2010年代初め頃僕がアメリカのクロマグロ遠征に行った時がきっかけです。当時の最新ロッドとライン、まだ誰も使ってないプロトモデルのトレブルフックを用意して、体も鍛えて万全の体制で挑んだんですが、大物がヒットした時、プロトモデルのトレブルフックが伸びちゃったんです。また当時からアメリカではキャッチアンドリリースが確立されており、クロマグロゲームでもシングルフックが使われていました。
そのような経緯から、『超高負荷がかかっても伸びない強靭なシングルフックを作ってほしい』と頼んで、全体の形状、ゲイプの深さ、シャンクの長さなどを徹底的に追求して開発、テストを重ねて生まれたのが、ビーストエッジシリーズなんです。ヴァンフックからリリースされたのは2016年なので、もう10年近く前のことですね」
ヴァンフックビーストエッジシリーズを使い分ける佐野ヒロム流フックセッティング
クロマグロ、キハダマグロ、ヒラマサといったビッグフィッシュを追い続ける佐野ヒロムさん。そんな佐野さんプラグ用フックとして選んでいるのがヴァンフックのビーストエッジシリーズです。

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「ビーストエッジシリーズにはバーブ付タイプとカットバーブタイプの2種類があり、それぞれにフック単体と完成品があり、全部で4種類あります。両タイプとも4/0から9/0まで、全サイズを使っています。
具体的にはルアーが180 mmなら4/0、200 mmから260 mmだったら5/0から8/0を使うことが多いですね。クロマグロ狙いでは、ルアーにもよりますが7/0から9/0。ヒラマサやキハダマグロだったら5/0から8/0を使うことが多いですね。
ルアーが180 mm以下であったり、よりサイズを落としたいといったときは4/0や5/0を使います。ベイトフィッシュが小さい春のヒラマサ狙いの場合など、140 mmや160 mmクラスの小さいルアーを使うときはボルトロック(BT-70 #1/0~3/0)を使います。ビーストエッジには4/0以下のサイズラインナップがないからです。ボルトロックは、もともとキハダ狙いで使うシンキングペンシル用のアシストフックとして開発されたものですが、フック自体はタタキタイプでビーストエッジよりも軽いですし、ヒラマサでの実績もある強いフックなので、キャスティングプラグにも使っています。さらにどうしても食いが浅い、ときはジゲングリッピ―(JH-40)を使うこともあります」
バーブ付きの「ビーストエッジ」とカットバーブの「ビーストエッジ カットバーブ」の使い分けは?
カットバーブはキャッチしたあとにリリースしたいけど、魚は確実に獲りたい時に使います。バーブを凸型に加工してあるのが特徴で、完全なバーブレスに比べ外れにくくなおかつスムーズなリリースが可能です。状況によりますが、使うことが出来るのであれば基本的にバーブ付きを使うんですけど、相模湾とか九州の一部みたいにバーブレスが義務付けられている船などではカットバーブを使います。
フロントはツイン、リアはシングルが基本セッティング
フックシステムは自作派ということですが?
「自分の場合はアシストラインの長さを細かく調整したいので、自作することが多いですね。アシストラインの長さは、0.5 cm刻みで作っています。具体的には、0.5 cm、1 cm、1.5 cm、2 cm、2.5 cm、3 cmという感じです。製品と同じ作り方でいろいろなサイズを用意しています。
ルアーに合わせたフックサイズ、アシストラインの長さを選ぶことは本当に重要です。基本的にはルアーのアクションが一番出る範囲で最大のフックサイズを使います。キャスティングでプラグを使う場合、自分はルアーが沈みすぎないように注意して、『フロントはツイン、リアはシングル』のフックセッティングが基本です。リアには小さなタングステンウエイトを付けて調整したりします。

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リアにウエイトを付けるのは、ルアーの姿勢を安定させて、横方向への動きを抑えるためです。ルアーが垂直に立ちやすくなるので、アクションも出やすくなります。アシストラインの長さは、フロントのほうが少し長めになるように調整すると、ルアーがシーソーみたいになって、前傾姿勢になってバランスが取りやすくなるんです。フックの自由度も上がります。リアは干渉するところがないので短めでもいい、という考え方ですね。自分が使うCB-ONEのルアーそれぞれに合わせて、全部のセッティングが決まっています。
多くの試行錯誤を繰り返して『フロントはツイン、リアはシングル』というフックセッティングに落ち着いていますが、利点は主に3つあると考えています。それは、1.魚に針を残すことができる。2.ファールフックが少ない。3,掛かってからパワーファイトが可能(ビビらずに戦える)です。こうした利点が完璧に煮詰まってきているのが、僕の今のシステムですね」
シングル&シングルシステムより断然掛かる! トレブルフックよりキャッチ率が上がる、良いとこどりのフックセッティングが「ツイン&シングルシステム」です。シングルフック導入に躊躇している人はぜひ試してみると良さそうですよ。
佐野ヒロムにとってのビーストエッジシリーズの存在意義
佐野さんにとってビーストエッジシリーズはどのような存在ですか?
「ビーストエッジシリーズは、僕の釣りにとって一番大事なものですね。どんな釣りでも最初に魚とコンタクトするのはフックです。フックが口の中に残るか残らないかで、釣れるかどうかが決まります。フックから始まって、スプリットリング、ルアー、金具、ノット、リーダー、ライン、リール、ロッド、そして自分の体、これら全ての要素が完璧に繋がって、初めて究極の魚が釣れると思っています。

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モンスタークラスのクロマグロ、ライトラインで狙うキハダマグロ、シャローエリアで勝負する大型ヒラマサ、そんな極限の状況での釣りを可能にしてくれる、タックルの中でも一番重要な道具がフックだと考えています。
トップウォーターゲームの醍醐味は、魚が出る瞬間、バイトが見える瞬間、そしてドラグが出る瞬間だと思っています。加えて、最近は一番重要なのは「フックが(口の中に)残るか残らないか」「フックを(口の中に)残せるか残せないか」だと思っています。魚がバイトした瞬間の駆け引き、掛けるための技術、ミスバイトした時でももう一回食わせて掛けられるかどうか、に面白さがあると思っています。こういったトップウォーターゲームの醍醐味を味わうために一番重要なのがフックだと思いますね」
ヴァンフックのビーストエッジシリーズとは?
ここからは補足的にヴァンフックの「ビーストエッジシリーズ」を紹介していきましょう!
「ビーストエッジシリーズ」はフックメーカー、ヴァンフックがリリースする大型青物、マグロ類、GTに照準を合わせた、プラッギング専用のシングルフックシリーズの名称です。
オフショアキャスティングのなかで最も強さを求められるジャンルで使用されるフックです。
さらに、パワーだけでなく、フッキング性能、ルアーアクションを損なわないこと、ホールド性能など、繊細な設計が求められるのがオフショアビッグゲームの隠れた一面でもあります。
あらゆる角度からプラッギング専用フックとしての性能を磨き上げたフック、それがビーストエッジシリーズなのです。
ビーストエッジ&ビーストエッジ カットバーブシリーズのラインナップとそれぞれの特徴
ビーストエッジシリーズは大きくは「ビーストエッジ」と「ビーストエッジカットバーブ」シリーズの2つに分けることができます。
それぞれで「フック単体」と「シングルアシスト完成品」が用意されているので、アイテムとしては全部で4つがラインナップされています。
細かくチェックしていきましょう。
ヴァンフック ビーストエッジシリーズのラインナップ
ビーストエッジシリーズにはフック単体の製品としては「ビーストエッジ(BH-806)」、シングルアシスト完成品として「ビーストエッジプラッギング(BG-86)」の2つがあります。
ビーストエッジ(BH-806)の特徴
ビーストエッジシリーズすべてのベースとなるのがプラッギング専用シングルフック、「ビーストエッジ(BH-806)」です。
形状としては太軸、ワイドゲイプが特徴。大物狙いで必要とされる高い強度、ホールド性はこの基本形状によって確保される、というわけです。
太軸でありながらもフックポイントがわずかに内側にカーブしているデザインなので、フッキングパワーがダイレクトに伝達、大型魚の硬い口周りであってもスッと入る貫通力を実現しています。
太軸トレブルフックとの互換性を考慮したウエイト設定(7/0)にも注目。
状況によってシングル、トリプルを使い分けたい、という方でも、ルアーのウエイトバランスを崩すことなくフックチェンジが可能です。
シングルアシストを自作したいという人には基本となるフックですね。
ビーストエッジ プラッギング(BG-86)の特徴
シングルフックの「ビーストエッジ(BH-806)」を使用したシングルアシストフックの完成品が「ビーストエッジプラッギング(BG-86)」です。
アシストラインの長さはフックサイズごとにベストなフッキング率を考慮した長さに設定しています。
スプリットリングを介してプラグにセットするだけで使用可能。2024年の夏には#8/0、9/0が追加されました。このビッグサイズならモンスターフィッシュでも安心できますね。
ヴァンフック ビーストエッジ カットバーブシリーズのラインナップ
ビーストエッジシリーズと同様にビーストエッジカットバーブシリーズにも「ビーストエッジ カットバーブ(BH-801)」と「ビーストエッジカットバーブプラッギング(BG-81)」がラインナップされています。
ビーストエッジ カットバーブ(BH-801)の特徴
ビーストエッジカットバーブ(BH-801)は、ビーストエッジ(BH-806)をベースにしたシングルフックで、「カットバーブ」仕様となっているのが最大の特徴です。
カットバーブとはバーブを凸型に加工した仕様です。
完全なバーブレスに比べ、テンションが緩んでも外れにくいのが特徴。やはりバーブレスはフックアウトが心配、というアングラーは多いですからね。分かります、その気持ち。
思い焦がれたビッグワンだけに絶対獲りたいですよね。
でもキャッチしたあとは元気に海に返ってもらいたい。そんな気持ちのアングラーにもスムーズなリリースを可能とするカットバーブはベストマッチ、というわけです。
フック単体の「ビーストエッジカットバーブ(BH-801)」は自作にこだわるアングラーにおすすめです。こちらもビーストエッジ(BH-806)同様、太軸トレブルフックとの互換性を考慮したウエイト設定になっています。
ビーストエッジ カットバーブ プラッギング(BG-81)の特徴
「ビーストエッジ カットバーブ(BH-801)」を使用したプラッギング専用シングルアシスト完成、それが「ビーストエッジカットバーブプラッギング(BG-81)」です。
ビーストエッジプラッギング(BG-86)と同様の製品でフックがカットバーブ仕様になっています。
リリース前提のフィッシングスタイルやキャスト時の安全性を優先したいアングラーにおすすめのシングルアシストフックです。
まとめ ヴァンフック ビーストエッジシリーズは最強のプラッギング用シングルフック
いかがでしたか? ビーストエッジシリーズ。
我が国を代表するオフショアキャスティングアングラー、佐野ヒロムさんの想いが詰まったシングルフックシリーズです。
フック単体の性能が研ぎ澄まされていることはもちろん、コンプリート製品も用意されているので、誰でも手軽に使用できる点もありがたいですよね。なかなか佐野さんのように使用するプラグごと専用にセッティングを出す、というのは難しいですからね。
モンスターを獲りまくっている人はもちろん、憧れの1本を手にしたい、という方も信頼して使えるシングルフックですよね。
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