ボートマゴチのタックルセレクト、釣り方の基本を紹介! 食の世界では高級魚に分類されるマゴチ。ルアーゲームとしては身近な大都市圏の湾内や、外洋でも沿岸が舞台のため、気軽に楽しめるのが魅力のターゲットでもある。人気上昇中のボートマゴチ、タックルセレクト&必勝テクニックをマスターしよう!
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マゴチとは? ショア&オフショアで人気の身近なターゲット
標準和名コチは、釣り人にマゴチと呼ばれる人気魚。日本各地に広く分布し、ルアーフィッシングのターゲットとしてはショア、オフショアの両方で盛んに楽しまれている。比較的南方系の魚とされてきたが、実際は東北地方にも数多く、人気は全国区となっている。
一般的には岸辺から水深30メートル程度までが生息域とされ、冬場は深場に落ちる。夏場は海岸近くの浅場に寄り、比較的穏やかな砂浜海岸や干潟、港湾部などの砂泥底を好んで遊泳、河口域や汽水域にも入り込む。
地域によって異なるが、浅場に寄る5月から11月くらいにシーズンを迎えるフィールドが多く、7月から9月の夏場にトップシーズンを迎えるところが大半だ。
大型船によるルアー乗合、仕立も一部存在するが、どちらかといえば内湾や汽水域を舞台にした小型ボートでのゲームがポピュラー。ボート(船)から狙うためボートマゴチ、と呼ばれることも多い。東京湾、浜名湖、伊勢湾などが有名で、ガイドサービスの数も多い。プレジャーボートを使えばフィールドの数は大幅に拡大する。
ルアーフィッシングで釣れるマゴチは比較的良型が多いのが特徴。ヒットしてくるのは40センチ以上の確率が高く、50センチから60センチクラスの大型が姿を見せることも珍しいことではない。
ボートマゴチ用タックルはボートシーバス用などの流用が一般的
マゴチのキャスティングゲームではスピニングタックル、ベイトタックル、いずれも利用することが可能。好みで選ぶことができる。ボートマゴチ専用ロッドはほぼ見当たらないので、ボートシーバス用、ブラックバス用のものを流用するのが一般的だ。
ロッドの長さは6フィートから7フィート、ルアーのキャストウェイト表示が7グラムから35グラム程度のミディアムクラスのものがおすすめだ。
マゴチのバイトを弾かないソフトなティップ、硬い口にフックを貫通させることができる強靭なバット部を備えているものを選びたい。内湾ではややソフト、外洋のフィールドではややヘビーなロッドをセレクトするのが基本だ。
ベイトリールを使う場合はキャスティングに対応できるブレーキシステムを備えた小型のものを使用する。
ブラックバス用でも十分に使用可能だが、長期の使用を考えるならできればソルト用に作られたものが望ましい。スピニングリールを使用する場合は、3000~4000番を選ぶ。中級機以上のものであれば、耐久性の面でも問題なく使用可能だ。
ライン&ショックリーダーはベイト、スピニングともに共通する。メインラインにPEラインを用いる場合には0.8~1.2号を使用、これに20~25ポンドのショックリーダーを1.5メートルほど結節する。耐摩耗性、感度に優れたフロロカーボン製が理想だ。
内湾のシャローエリアが中心の場合は、メインラインにモノフィラメントラインを使うこともできる。ナイロンラインを使う場合は12ポンドから16ポンド、フロロカーボンラインを使う場合は10ポンドから12ポンドを選択、直結で使用する。
タックル以外のマストアイテムはプライヤーとフィッシュグリップ。がっちりとハリ掛かりしたマゴチからフックを外すのは意外に大変。頬の部分にはトゲがあり、また背ビレも危険だ。フィッシュグリップとプライヤーを利用し、安全に注意してフックを外すとよい。
ボートマゴチでは多彩なルアーが活躍
マゴチのキャスティングゲーム用ルアー、その基本となるのはワーム&ジグヘッドだ。
甲殻類を模したホッグタイプ、ブラックバス用から流用され始めたギルタイプなど、比較的ボリュームのあるワームに人気がある。
ほかにも小魚を模したストレートタイプのものも使用できるが、なかでも適度なアピール度を発揮するシャッドテールタイプがおすすめ。いずれのワームもサイズとしては5センチから8センチ程度を目安に選択する。
ワームはジグヘッドにセットして使用するのが基本。ジグヘッドは重さが10グラムから50グラム程度、マゴチの硬い口を貫通できる太軸の頑丈なフックを備え、上向きにセットされたものが理想的だ。
ジグヘッドのウェイトはフィールドの水深、潮流の速さ、マゴチの平均サイズなどを総合的に勘案して決定する。内湾ではライト、外洋ではヘビーというのが一般的な傾向だ。
根掛かりが多いフィールドではワームをテキサスリグにセットして使用するのがおすすめ。
テキサスリグに使用するシンカーは14グラムから40グラムを目安に選択する。フックはフックポイントをワームのボディ内に隠すことで根掛かり対策ができるオフセットタイプを使用。各種あるなかでも頑丈な太軸タイプのものを選ぶと安心だ。フックサイズは2/0~4/0を目安に、使用するワームによって使い分ける。
ラバージグ、という選択肢もある。ウェイトはジグヘッドと同様でよいが、あまり重いものは市販品で見つけるのは難しい。セットするワームはホッグ系やシャッド系が基本だが、ジグヘッドに装着するものより少し小さいものを選ぶとバランスがいい。
浅場を広く、効率的に探りたい場合に有効なのがバイブレーションプラグやスピンテールジグ。複数のトレブルフックを使用しているためフッキング性能も高い。重さの目安は14グラムから35グラム程度。
メタルジグも活躍する。海底付近を効率的に攻めていくことができるのが強みで、深場狙いにも使いやすい。飛距離も稼げるので広範囲も探りやすい。重さは7グラムから40グラム程度をフィールドの特徴によって使い分ける。
フックは根掛かりの危険性によって前後のフックを付けたり、外したりする。前後にシングル、もしくは前後のいずれかにシングル、というのが一般的なセッティング。フックが1本でも根掛かりが多発するときは使用を避けたほうがいいだろう。
いずれのルアーを使用する場合でも、カラーはオレンジ、赤などの派手目のアピール系と水色に馴染むブルー、グリーン、茶色などナチュラル系のカラー、両方を揃えておきたい。派手なカラーが活躍する、と思いがちだが、意外にナチュラル系カラーが主役になることも多いのがマゴチゲームの特徴。覚えておくとよいだろう。
海底からルアーを浮かせずに誘う、これが鉄則だ
マゴチゲームの舞台は比較的フラットな海底にあるちょっとした変化が中心となる。ボトム変化が多彩な港湾部などではシャローエリアの浅場から深場へと落ち込むショルダー部、岸壁際のカケアガリ、河川のチャンネル沿いにできるカケアガリなどが有望ポイントとなる。
水深の目安としては10メートル程度まで。夏場の河川内の釣りでは水深1メートル程度のシャローエリアが熱くなることもある。
アプローチの鉄則は海底からルアーを離さない、ということ。同じフラットフィッシュに分類されながらも中層まで積極的にルアーを追ってくるヒラメとの大きな違いがここにある。
平坦な海底のフィールドを釣る場合は、まずロングキャストを心掛け、確実に海底までルアーを沈めることを意識する。その後は海底から10センチから20センチほどを横に引いてくるイメージでトレースしてくる。巻いているうちにルアーが浮いてくる場合は、リーリングを止めて着底させてから巻き始める。必要に応じてワンキャストで数回ボトムを取り直すとよい。
リールのハンドルを3回から5回ほど巻いて着底するまでカーブフォール。そこからまたハンドルを3回から5回ほど巻いて1回落とすという動作を繰り返していくパターンも有効だ。
海底近くを探れるルアーのうち、なるべく軽いものを使ったほうがヒットが望めるが、あまりに浮いてしまう場合は重いルアーにチェンジしていく。ジグヘッド&ワームを基本に、バイブレーションプラグやスピンテールジグなど、すべてのルアーが使用できる。
港湾部などでは岸に向かってキャストし、カケアガリを攻めていくことも多い。マゴチはカケアガリの深い側にいることが多いので意識するとよい。ルアーを海底まで沈めて確実にボトムを取ることが重要だ。釣りやすいように風向きと潮の流れを考慮してボートを流していくとよい。
ワーム&ジグヘッド、ラバージグ&ワームをリフト&フォールして使うのが定番パターン。いったん着底させたルアーを30センチ前後を目安に引き上げ、ラインテンションを抜くことなくフォール(カーブフォール)する。フォールを終えたらロッドを倒しながらリールを巻き、またリフト動作へと移るという動作を連続していくとよい。
風が強かったり、潮流が速かったりするときなどはドラッギングと呼ばれるテクニックも有効だ。ルアーを風下側にロングキャスト。着底後、糸フケを取ったらリールを巻くことなくリフト&フォールを繰り返す方法だ。キャストして釣る醍醐味は損なわれるが、ルアーが底付近から離れにくく、確実に海底付近を長距離攻めることができる。
ボートマゴチでのアワセは大きく、力強く行うとバラしにくい
ルアーを横方向にキャストし広く探っている場合、アタリは比較的分かりやすく出ることが多い。ロッドティップにいきなり重みが乗ったり、引ったくるようにロッドが引き込まれたりするパターンが理想的だ。
ゴツゴツッと硬質的な感触でアタることもある。アタリがあったらリールを素早く巻いて糸フケを取り、大きくロッドをあおってアワせるとよい。
リフト&フォールで攻めている場合には、フォール中、もしくはフォール直後にアタックしてくることが多い。フォール中に「コンッ」とくるか、着底したような、でも違和感のような感覚として伝わってくることもある。この場合も素早くラインを回収するとともに、大きくロッドをあおってアワせることが大切だ。
いわゆる「居食い」をすることもある。フォール中、フォール直後にアタリを感じることができず、次のリフト動作で重みを感じることもある。この場合、重みを感じやすいのでアワせたつもりになりがちだが、油断することなくしっかりアワせることが大切だ。
いずれの場合でもアワセは、マゴチの硬い口周りに、しっかりハリ先を貫通させるイメージで大きく行うことが大切。バラシの大半はアワセが甘いことが原因だ。アワセ切れが起きないようにドラグセッティングを適正に行っておくことも大切だ。
アワセが決まったらグイグイとリールを巻いて寄せてくる。回遊魚のような走りを見せることはないが、グングンとヘッドシェイクを繰り返して抵抗する。この手応えはマゴチの醍醐味だ。ときおりスーッと寄ってくることもある。このときにバレたと感違いしやすいが、ここで巻き手を止めてしまうと本当にバレてしまうこともある。気にせず巻き続けることが大切だ。
取り込みはネットを使うのが基本。ネットに入れる直前のヘッドシェイクは最後の難関だ。フッキングが甘いとここでバレてしまうことが多い。ラインテンションを緩めることなく、確実にネットに誘導する。
取り込み後の注意としては、フィッシュグリップ、プライヤーを使ってフックを外すよう心掛ける。素手でフックを外すのは厳禁。マゴチはキャッチしてからもヘッドシェイクを繰り返して力強く抵抗する。頬にトゲがあり、背ビレも大きく鋭い。フィッシュグリップで確実に固定してからフックを外す癖をつけておくと、無用なトラブルを避けることができる。
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