【マグロキャスティング】SOULS佐藤偉知郎さんに訊く!スイベル&スプリットリングの重要性

キャスティング

300キロも現実的になってきたクロマグロキャスティング。第一人者である、SOULSの佐藤偉知郎さんが軽視されている!と警鐘を鳴らすのが接続金具。重要性をあらためて理解しよう!

この記事を作った人ヤップ!編集部
ヤップ!でオフショア情報を発信する人たち。編集長の大川直を中心にそれぞれに得意な分野について執筆&撮影して投稿。信頼できる情報を分かりやすく伝える! をモットーに活動中。

佐藤偉知郎さん。日本のマグロキャスティングの草分け的存在であり、現在もフロントランナーとしてシーンを牽引する第一人者。SOULS代表。

あなたの使っているスイベル、ちゃんと回転しますか?

ヤップ 今回のテーマはマグロキャスティングにおける接続金具、つまりスイベル、スプリットリングの重要性に迫る!です。ちょっと地味な気もしますけど。

佐藤偉知郎(以下、佐藤) いやいや、そんなことないですよ。100キロ、200キロのモンスタークラスのマグロを狙うにはとても大事なタックルのひとつです。ノットと同じくらい大切、僕はそう考えていますよ。

ヤップ では、SOULSでリリースしている製品に即して、その重要性を教えてください。
まずはスイベル、「オリジナルパワーマックススイベルBBストロング」をリリースしたきっかけからお願いします。

佐藤 マグロキャスティングではラインに負担をかけないよう、スイベルは必需品です。でも、スイベルを使ってルアーをセットしているのにラインが撚れる、ファイトすればなおさら撚れる、というモノが多いと感じていた、というのがリリースに至った理由ですね。

ヤップ スイベルを使っているのにラインが撚れる? それじゃあ使っている意味ないですよね。

佐藤 そうなんです。なんでだろう、と考えた結果、負荷が掛かったときに回りづらくなるんじゃないかな、と。つまり、負荷が掛かったときにスイベルがスイベルの機能を果たさなくなるんじゃないか、と考えたんです。

オリジナルパワーマックススイベルBBストロング。佐藤さんの理想を叶えたスイベルだ。

ヤップ 負荷が掛かった状態でもしっかり回転して機能するスイベル、ということでオリジナルパワーマックススイベルBBストロングを作ったんですね。

佐藤 そうです。そこが一番。まずボールベアリングを内蔵した真ん中のパーツはマグロとのファイトで凄い負荷が掛かってもしっかり回転するものを選び抜きました。パーツメーカーさんのサンプルのなかから、実際に自分でノットを組んで、ぶら下がってちゃんと回っているかを検証してセレクトしました。

ヤップ 凄い! ほかにはどんな特徴が?

佐藤 ラインを結ぶ溶接リングの線径を可能な限り太くしました。世の中に存在するスイベルのなかで唯一無二の太さだと思います。

ヤップ 太くするといいことがあるんですか?

佐藤 一番は強度が出ます。強くするための線径のアップです。あとはノットの強度アップにもつながります。細いものに結ぶとノットの強度は落ちます。だからなるべく太いものに結びたい、ってところですね。

ヤップ ほかにも特徴がありますか?

佐藤 溶接リングの直径をできるだけ小さくしています。スイベルがデカくていいことはひとつもないですから。重くなったり、水の抵抗が大きくなったりして、ルアーアクションが変わってしまう。なにより格好悪いですよね。

ヤップ 意外とデカイ製品が多いですよね。

佐藤 副産物的なんですけど、全体に小さくなったことでロッドのガイドを通りやすくなってもいます。

ヤップ それは具体的にはどこがいいんでしょうか?

佐藤 自宅ですべてのシステムを組んでおくことができます。少なくともソウルズのマグロ用ロッドのガイドはすべて通ります。他社さんの製品でしっかり強度があるものはほぼ通らないと思いますよ。

ヤップ 準備万端でフィールドに向かえるということですね。

佐藤 現場で結ぶからいいです、という人もいますが、検証もしない結びを現場でやったとしても安心できないですよね。理想はしっかり自分で強度を検証したノットを家で組んでおくこと。現場でラインが切れたり、傷んだりしたらスプール交換すればOKという状態にしておくのが理想ですね。

ヤップ 佐藤さんはスペアスプールを何個も持っていきますよね。

佐藤 そうですね。完璧なものをしっかり用意しているので安心感がありますよ。

ソウルズチューン・スプリットリング。満足していたというデコイ製スプリットリングをさらにフッ素加工したスプリットリングだ。

150キロ表示のスプリットリングが30キロで伸びる理由

ヤップ 次にスプリットリングについて教えてください。これも従来製品に不満があった、ということですか?

佐藤 津軽海峡でクロマグロをやったり、海外で何百キロとうマグロとファイトしたりしたときに、表示が250、300ポンドというリングが簡単に開いてしまう、というトラブルを何回も目の当たりにしたんです。300ポンドといったら約150キロ。ラインも切れずにリングが伸びるなんて理論上はありえない。そもそもドラグの限界値は30キロくらいですからね。

ヤップ たしかにおかしいですよね、冷静に考えたら。メーカーが嘘をついているんですかね?

佐藤 いやいや、それはないと思います。数字は正しいんだと思います。でも、それは要するにまっすぐに引っ張ったときの数字なんですよ。スプリットリングのどの部分に、どういった角度でテンションが掛かるかによって、数字は変わるのではないか、と思います。

ヤップ 魚もいろいろイレギュラーな動きをしますからね。

佐藤 そうなんです。とにかく現実的に開いている、伸びちゃっているのを現場で何回も見ているわけです。半分、針金みたいになって上がってくるわけです。

ヤップ ドラグの最大値が30キロくらいなのに、それ以下で伸びたりしたら、そのスプリットリングの強度は実質30キロしかない、ということになっちゃいますよね。

佐藤 実際に自分でテストしても、まっすぐ引っ張る分には30キロでは壊れないんです。やはり可能性としては、力を掛けてねじったりすると、段差の部分などが引っ掛かってロックされ、開いちゃうんだと思うんです。

ヤップ そうならない製品ということで、「ソウルズチューン・スプリットリング」をリリースした、ということですね。

佐藤 僕はデコイのスプリットリングを愛用していたんですが、これは海外のマグロキャスティングで使っても伸びたことがなかった。ほかの人たちは300、350ポンド表示のリングでも伸びているのに、自分が使っている200ポンドのものは伸びませんでした。

ヤップ それは不思議ですね。

佐藤 もともとデコイのスプリットリングは開きにくい平打ち加工が施されています。実際に使っていても開くときにすごく力が必要で、戻る復元力も大きい。開きっぱなしということにもならない。これはすごくいい金属、強い金属なんだろうな、と思って使っていたんです。でも、それだけじゃなかった。

ヤップ デコイのスプリットリングに何か秘密があったんですか?

佐藤 デコイのスプリットリングはワイヤーの断面が斜めにカットされているんです。これがリングが開かない秘密なんです。引っ掛かりにくいのでロックしづらい。だから、数字的に弱いリングであっても、断面が未処理の、数字上強いリングより結果的に開かないんですよ。

満足してもその先を求めるのが佐藤さん。モンスタークラスのクロマグロを相手にするには完璧という言葉は存在しない!?

フッ素加工を施して滑りやすく錆びにくくした

ヤップ では、かなり満足して使っていたんですよね?

佐藤 そうですね、満足していました。でも、さらに上を求めた結果として作ったのがデコイのスプリットリングにフッ素加工を施したソウルズチューン・スプリットリングなんです。

ヤップ フッ素加工というと、テフロン鍋みたいな?

佐藤 そうです。すごく滑りやすくなるのが特長です。金属同士はとくに滑るんです。触ってもらえばすぐにわかると思います。

ヤップ そんなに違いが出るんですか?

佐藤 オリジナルのものでも引っ掛かりはほぼありません。でもワイヤーが斜めにカットされているとはいえ、少しですが段差は存在します。完璧かと考えたら、開くことはないかもしれないけれど、引っ掛かることはあるかも知れません。

ヤップ 究極のスプリットリングを求めた、ということですね。

佐藤 相手はモンスターですからね。完璧を求めたいですよね。それで、オリジナルのものより滑ればさらに引っ掛かる確率は減るのでは? と考えてフッ素加工してもらったんです。

ヤップ ほかにもフッ素加工の効果はあるんですか?

佐藤 錆びない、という効果も大きいですね。フックをつけるときにもプライヤーで相当こすれますけど、そのくらいじゃ全然剥げない。海水につけたあとにしばらく放っておいても錆びないですよ。もちろん、使用したあとはしっかり真水で洗ってほしいですけどね。

ヤップ スイベル、スプリットリングともに、完璧の先を求めた製品と言えますね。

佐藤 想像できないサイズの魚を釣るための道具ですからね。みなさん、ロッドとかリールとかにこだわりますけど、接続金具には全然こだわらない。かなり軽視されていますよ。ロッドが折れない、ラインも切れない。でもリングが伸びるって何?って話ですから。

ヤップ マグロに限らずGT、ヒラマサといった大物を釣りたい人も、もう一度、接続金具の重要性を見直してほしいですね。

佐藤 接続金具、大事ですよ!

注目記事

MOVIE

TOP