深海の人気ターゲット、キンメダイ。決して簡単な釣りではありませんが、貴重な1枚をキャッチしたときの喜びは大きい。激ウマが魅力のキンメジギングに挑戦しよう!
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キンメジギングのメッカは伊豆南方の新島沖
キンメダイはジギングターゲットとしては最終目標に近い、そんな対象魚のひとつです。最大の魅力は食味の良さ! と口を揃える人が多いですが、その裏には深海釣りならではの高度なテクニックや1枚をキャッチする達成感があります。
キンメダイには3種が存在します。キンメダイ、ナンヨウキンメ、フウセンキンメです。最も人気があるのは本キンメとも呼ばれるキンメダイ。食味もキンメダイが頭ひとつ抜けて高く評価されています。ほかの2種と比べても市場での値段は大きく異なっています。
キンメダイが釣れる海域であればキンメジギングは可能。しかし、ルアー船として対応してくれる船がないと楽しむことができないのが現状です。釣り人として楽しめる環境が整っているのは、千葉県布良沖、洲崎沖、相模湾、南伊豆沖一帯、遠州灘、和歌山県の白浜沖、高知県の室戸沖などが代表的です。
なかでも深海ジギングファンにその名がとどろいているのが新島沖。南伊豆一帯の各港にルアー専門船が多いのが特徴です。他のフィールドでは大型の部類に入る1キロ、1.5キロは当たり前、最大3キロクラスまで狙えるサイズの良さと、食味の良さに魅了されたアングラーが全国各地からも集うキンメジギングのメッカです。
ナイトゲームを行うフィールドでは100~150メートルといったシャローレンジで楽しめるところもありますが、デイタイムとなれば200~500メートルが中心と、まさに深海ジギング。
必要とされるジグのウエイトもフィールドによって異なりますが、ここでは最も人気があり、最も攻略が難しいとされる新島沖を前提に話を進めていきます。水深が浅いところではタックルはよりライトに、釣り方もより簡単になります。
最も重視したいのは伸びの少ないメインラインの選択
キンメジギングではスロージギング用のベイトタックルを使用するのが基本になります。
最重要はラインです。単糸構造で伸びが極めて少ないファイヤーラインや低伸度を目指して編み上げられた最先端のPEラインを選択して挑むことをおすすめします。
PEラインは素材自体はわずか(一般的には3~5パーセント、3パーセント以下の低伸度の製品もあり)しか伸びませんが、一般的なPEラインでは原糸を編み込んで作られています。原糸の伸びの分と編み糸が伸びる分が合わさってかなりの伸びにつながります。
仮に合わせた伸び率が7%の場合、300メートルほどラインが出ていたら、約2.1メートルも伸びてしまいます。底付近を釣ることが多いキンメジギングではアタリや底取りが分かりにくくなってしまうわけです。低伸度のラインを使用することの重要性は理解していただけるでしょう。
メインラインは高切れなどが起きても使えるように2号を1000メートル以上、たっぷり巻き込んでおきます。潮流が複雑なときへの予備として1.7号、1.5号を巻いたリールを用意するのもよいでしょう。
ショックリーダーは根掛かりしたときにリーダー部分で切れること、を重視して選択します。メインラインを多くロストすることは経済的にも環境的にも大きなマイナスです。
フロロカーボン製リーダー6号を2~3メートルセットするのがおすすめです。メインラインとのノット部の強度を重視するなら逆テーパー仕様がおすすめ。
フロロカーボン10号の先端に6号をセット、というスタイルです。これならノットの強度を確保したまま、根掛かりした場合でもメインラインを失うことなくジグ付近だけをロストするだけで済みます。
ロッドはヘビーなスロージギング用。リールは高性能な大型をチョイス
ロッドは500~1000gといったヘビージグを扱えるものをセレクトします。長さは5~6フィートのなかで選ぶとよいでしょう。短ければジグ操作が楽ですが、海底付近のジャーク幅の自由度は落ちます。長ければその反対。一長一短なので好みで選びます。
キンメジギング専用ロッドはほぼ存在しません。スロージギング用ロッドのなかで最もヘビーなものから選ぶとよいでしょう。ヘビークラスの青物用ロッドでも釣りを楽しむことは可能です。
リールは高性能なジギング用大型ベイトリールを使います。一番重要なのはメインラインを1000メートル以上巻き込むことができるサイズを選ぶこと。
とりあえずというのなら少々小型のもので挑戦することも可能ですが、500メートルだけラインを巻き込んで200メートルラインを失ったら、その日、そのリールは使用不可能です。1200メートル巻いてあれば200メートル失ってもまだ使えます。
リールの選択肢はそれほど多くはありません。ブルーヘブン、オシアジガー、マーフィックスなどが人気機種です。
リールの精度、回転性能、パワーといった性能の良し悪しは、疲労に直結します。大きな負荷は掛かりませんが、一定の負荷がリールに掛かり続けるのがキンメジングの特徴。とくに回収作業は地味に、しかしかなり疲れます。
体力自慢はハイギアを選択してグイグイ回収するのもあり。辛い作業は短時間で終わらせる、という発想です。体力に自信がない人はノーマル、パワーギアを選ぶのがおすすめです。もっと楽をしたいという方は電動リールを使うのもよいでしょう。キンメジギングは海底付近だけを釣るので、誘っているときは手巻きで、回収は電動で、という発想はとても合理的です。
慣れないうちは棒状のロングジグの選択がオススメ
使用ジグのウエイト目安は600~1000グラム強。メインウエイトは800グラムといったところです。最初のうちはスロージギング用ジグのなかから、ロングタイプをセレクトするとよいでしょう。
ロングタイプを基本とするのはフォールスピードが速いことと、引き重りが少ないことが大きな理由です。木の葉のように扁平なタイプはフォールするときに潮流に乗って流れ、底取りが難しくなります。また、回収時の抵抗も大きいのでとても疲れます。まずはロングタイプの使用をおすすめします。
ロングタイプでも使い分けがしやすいよう、棒状、丸い断面で水切りがよい、スッとフォールするタイプ、平面やエッジがあってスライドしやすいタイプなど、形状の違うものを意識的に分けて揃えておくとよいでしょう。回収作業が楽なのは棒状タイプです。初チャレンジを考えている人は、まずこのタイプを多めに用意するとよいでしょう。
カラーは好みのものを選べばOKですが、グローが入ったものはマストアイテムです。オールグローよりも、明滅効果が期待できるゼブラタイプの人気が高いようです。ほかにも単色で塗りつぶしたマット系、シルバー系、ゴールド系などがあります。周囲の釣り人の釣果も見ながらローテーションしてキンメダイの反応を探るとよいでしょう。
フックは前後に2本セットするスタイルが基本。細軸タイプの2/0~3/0サイズを使用します。ジグへの抱きつきが起こらないように、使用するジグの長さや太さに合わせて、フックサイズ、アシストラインの長さを考慮してセットします。
さらにはアシストラインの素材を使い分けることでジグへの絡みを防止することができます。張りが強いアシストラインの素材ならジグへの抱きつきは減少しますが、フックが吸い込まれにくくなるデメリットもあることを理解しましょう。状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
後編に続く
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