39.9kgの夢マサ浮上!外房・宏昌丸のヒラマサジギングでキャッチ

ジギング

関東を代表するヒラマサフィールド、外房で39.9kgの巨大ヒラマサがキャッチされた。そのサイズもさることながら強烈なインパクトを与えたのはジギングでキャッチされた、という事実。大型のヒラマサはキャスティング有利という定説に一石を投じた夢マサ。ヒットからキャッチにいたるまでの詳細をレポートする。

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キャスティングでは世界記録49.5kgをはじめ、30kg、40kgクラスのキャッチ実績も多い外房沖。しかし、ジギングではなかなか聞くことはない数字だ。

胴の間でのヒラマサジギング。気配は濃厚。プレッシャーは大。外房ならではの休日。

39.9kgという超ド級の巨大ヒラマサをキャッチしたのは千葉県の山中豪さん。2024年4月28日の午後、宏昌丸船上でのことだ。休日には同船の助手としてお手伝いすることもある山中さん。この日も満船の午前船では助手に専念した。名ポイントの沖の根でも気配は十分だったが、連休ということもあり船が多かった。プレッシャーもあってか、なかなか結果に結びつかなかったが、そうしたなかでもジギングで10kgクラスのヒラマサに加え、大型のマダイなどがキャッチされた。

少し釣り座が空いた午後船の胴の間で山中さんはジギングを楽しんだ。午後のスタートも沖の根に向かったが混雑状況は変わらず。キャスティングで25kgクラスが上がり、盛り上がる場面もあったが後が続かず。宏昌丸の吉清良輔船長は、沖の根に見切りをつけ、イワシの姿が数多く確認できた水深20mラインの岸寄りのポイントに移動した。午前は、トリ、イワシともに多くが視認できたが、午後になるとイワシは水面下に沈んでいた。ところどころではハネが見られたが、簡単には入れられない。プレッシャーが入っているせいか沈むのが早く、どうにか届かせようとキャスティングタックルにジグをつけてキャストして対応しようとするアングラーもいた。胴の間で釣っていた山中さんはジギングに徹した。

すべてのシーンを振り返ることができる、覚えているほどの冷静なファイト。獲るべくして獲った夢マサだ。

外房巨大ヒラマサはファーストラン、セカンドランで100m以上を走った

「水深はちょうど20mくらいでした。ショートジグをボトムにつけてから丁寧にアクションさせて釣っていました。着底させてラインスラックを取ってから3回くらいジャークしたときにヒットしました。フッキングしてからは一気にラインが出されました。使っていたラインがメインがPE3号、リーダーがフロロの10号でした。止めて獲れる魚ではない、とはすぐに感じましたし、根がそれほど激しいポイントではなかったので、船長も出しちゃっていいよ、と指示をくれたのでとにかく走らせました」

山中さんは4年連続で20kgクラスをキャッチしている手練れ。10kgクラスのキャッチにいたっては覚えていないほど。そんな山中さんだからこそのファイトが、ここから始まった。

「通常だったらPE3号で初期のドラグセッティングは6kgくらいです。でも、ラインを出してしまおうと思ったので、おそらく5kg弱くらいまで緩めました。ファーストラン、セカンドランで300m巻いていたラインが半分くらいになるまで走られました。100m以上は走られたと思います。止まったとき『もうラインが傷んでいるな』というイメージが頭の中にありました。そこでドラグノブを1/3回転くらい回して緩めました。あまり緩めすぎると相手にプレッシャーを掛けられないので、そこは注意しました。ゆっくりゆっくり寄せてきました。ポンピングしない、スプールを抑えない、ロッドを立てすぎない。こういったことに注意して巻き続けました」

船が追いかけてくれたこともあって距離は縮まった。しかし、相手はそれに気づいたのか、頭を振ってサードランに突入した。これまで経験したことのない頭の振り幅だった、という。それまでもいいサイズだろうとは思っていたが、これまで経験したことのない大型と気づいたのはこの時だった。

「サードランが止まって浮かせたときには、もうラインがかなり傷んでいるだろうと思いました。切れるとしたら金属部分の接続だろうな、とも思いました。でも、ここで切れたらもったいない。さらにドラグノブを1/3緩めました。ヒラマサはゆっくり上がってきました。常にプレッシャーをかけながら、でも行くときは行かせました。ランディングのときは頭を振られたらおそらくリーダーが切れるな、と思ったので暴れさせたくありませんでした。魚は左から右に向かって来たので、ロッドを下げたままリールの巻きだけで寄せるような感じでネットに誘導しました。ネットに入ったときは大きいなと思ったくらいでしたが、船長が握手してくれて。初めてですよ(笑)。いや、切れなくてよかった、時間かかっちゃってすみません、って周りの人に言って周りました(笑)」

ファイト中にはポンピングしない、スプールを抑えない、ロッドを立てすぎない。ランディング時にロッドは立てない。巨大魚相手のライトタックルでのファイトで、ぜひ参考にしていただきたい技術だ。

PE3号、10号リーダーで手にした夢マサ

相手は39.9kgの夢マサだった。ジギングでキャッチされた外房ヒラマサのレコードがどれくらいのサイズかは分からない。だが、長い年月、外房の海で楽しんでいる山中さんも聞いたことがないサイズ、という。しかもポイントの水深は20m。PE3号と10号リーダー、ライトなロッドを使っての結果だ。

「宏昌丸の良輔船長の冷静な判断と助手の田口くんの完璧なアシストがあったから獲れた魚でもあります。感謝です。自分的に一番は外房にはこんな大きなヒラマサがいるんだ、ということを知ってもらえたら嬉しいです。4月になってからいいサイズもかなり上がっています。でも、今年は厳しい状況が多く、船長をはじめ、関係者、釣り人の皆さんが苦労していたこともよく知っていたので。それでも、こんな魚がヒットしてくるんですよ、と伝えたいです。今回の魚が頑張っている釣り人の励みになればいいな、と思います」

重量は39.9kg、叉長144.8cm、全長155cm、胴周り84.8cm。おそるべき夢マサだ。

これまでも、これからも外房は夢のあるヒラマサフィールド

我々が気づいていないだけで、外房には我々が思っている以上に巨大なヒラマサが泳いでいるのかも知れない。なんといっても世界記録が生まれている海でもある。今回は獲れるだけの技術と経験を持ち合わせたアングラーのジグにアタックしたことが、39.9kgの夢マサの不運だった。フックアウトやラインブレイクで「いまのはデカかった」と思わされたアングラーにも同じサイズのヒラマサがヒットしていたかも知れないのだ。1本を獲ることに苦労することも多い。それが外房の現実でもある。しかし、これまでも、これからもやはり外房は夢のあるフィールドであることは間違いない。

39.9kgを仕留めた山中さん使用タックル

ロッド:マジックトリガー602LR(MC works‘)
リール:ステラSW8000HG (シマノ)
ライン:ジグマンウルトラx8 3号(X-BRAID)
リーダー:フロロ10号(シーガー)
ジグ:ゼロワン セミロング110g(cb-one)
ハンドル:BBパワーハンドル(MC works‘)
フック:カルティバ JF-27ジガーライトシワリ6/0(オーナー・自作アシスト)

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