東京湾のボートマゴチは古くから「照りゴチ」と呼ばれ、親しまれてきた東京湾の夏の釣り。近年ではどんどんシーズンが早まり、春から楽しめるのが特徴です。小型ボートからの釣りでは浅場を狙うキャスティングがおすすめ。ルアーで攻略するキモを徳永さんが解説します。
本記事ではアフィリエイトプラグラムを利用しています。
釣り経験はあるものの、ビギナーレベルから抜け出せずにいる30代男性。オフショアゲームでエキスパートを目指すべく奮闘中。東京都在住。
徳永兼三(とくなが・けんぞう) 東京都大田区でプロショップ『BASS MATE』を経営するエキスパートアングラー。バスフィッシングからマグロ、GTといったビッグゲームまで幅広くこなし、国内外のフィールドに精通。これまでに数々のレコードフィッシュを釣り上げている。
池貝雅俊(いけがい・まさとし) バスフィッシング、シーバス、近海のオフショアなど関東周辺のルアーゲーム全般に造詣の深いバスメイトの店長。タックルに関する知識も豊富で、店内で扱う商品在庫のすべてを把握していると言っても過言ではない。
ボートマゴチは周年楽しめる釣り。夏はシャローが熱い!
徳永さんこんにちは! いままで東京湾のボートゲームをいろいろ教えてもらったんですけど、考えてみたら、ボトムをじっくり探る釣りってやったことない気がします。ボクの得意な?バスフィッシングの経験を生かせる、ボトムゲーム的な釣りって何かありませんか?
それならマゴチがバッチリです。ちょうどシーズンも良いですし、チャレンジしてみたらいかがですか?
ああ、マゴチですか! たしか夏場に釣れることから「照りゴチ」とか言われるんですよね。
そうです、実は東京湾では夏場に限らず年間を通じて釣れるんですが、4月中旬から8月にかけては産卵のため河口や湾奥の浅場に入ってくるためとくに釣りやすいんですよ。
年中釣れるなかで、とくに狙い目なのが初夏から夏場ってことなんですね。狙う水深はどのくらいですか?
水深は季節によって10~20mくらいまで下がることもありますが、この時期はおもに10mより浅いポイントを狙います。
浅! それはかなりエキサイティングですね! 釣れるサイズはどのくらいですか?
アベレージで40~50cm、最大では60cm台後半くらいまで期待できます。70cmオーバーはいまのところ見たことないですが、いる可能性は十分ありますよ。
ボートマゴチロッドはボートシーバス用やバスロッドでOK !
60cm! ますますエキサイティングですね。となるとタックルもかなり強めがいいですか?
いえ、それほど引きが強い魚でもないので、ミディアムライトクラスのボートシーバス用ロッドか、バスロッドがあればOKです。ベイト、スピニングどちらもOKなので、ルアーウェイトに合ったパワーのものを選んでください。6.5~7.5ftで、ティップが軟らかくてマゴチの喰い込みを弾かない調子がベターです。
それなら手持ちのロッドで行けそうです。ラインはPEですか?
はい、喰わせてアタリを取る釣りなのでPEラインが有利です。号数は1号~1.5号が使いやすいですね。リーダーは20lbくらい。フロロでもナイロンでもかまいません。
PEは0.8号とか0.6号とかにしないと食いが悪くなったりしませんか?
食いには影響はないですし、水深も浅いですから、そんなに細くする必要はありません。むしろ細くするほうが、根掛かりしたときの耐久性不足などデメリットがあります。根掛かりでラインブレイクすると海中に仕掛を残すことになって、環境にも良くないですからね。
ボートマゴチのルアーは小魚や甲殻類を意識してセレクトする
この時期のマゴチのメインベイトって何ですか?
マゴチは小魚やエビをはじめ、ボトムにいる様々な生物を食っています。そのなかでメインとなるのはハゼ等の小魚、エビやカニですね。どれも東京湾には多く生息しています。
ハゼ等の小魚に甲殻類か。ボトムのズル引きでそれを模すわけですね。
もちろんズル引きでも釣れますが、マゴチは眼が上に付いていて目線の上にあるエサを襲うことが多いんです。だから完全なボトムより、ボトムスレスレを意識した誘いが有効です。バイトが出た瞬間の「釣った感」はハンパないですよ。
ボトムべったりではなく、スレスレをキープするというところがキモですね。難しそうだけどたしかにテクニカルでバス釣りっぽいし、なんだか燃えます。徳永さんはフットボールジグを好むということですが、普通のジグヘッドでも大丈夫ですよね。
はい、ジグヘッドワームやフリーリグも有効です。ジグヘッドはがまかつのレンジスイマー・タイプリバーシブルがおすすめ。ヘッドの下部にトレブルフックを装着することができ、重さのバリエーションも豊富です。
ワームはどんなものがいいですか?
大きめのサイズならメガバス・スピンドルワームの4inc、小さめなら同じくメガバスのハゼドンシャッドがおすすめです。カラーは、ある程度透明度があるときはリアル系やナチュラル系、夏場にかけて濁りが入ったらパールホワイトやチャート系のカラーがいいですね。
アタリがあったら・・・ヒラメやマゴチは少し待って食い込ませたほうがいいんでしたっけ?
いえいえ、エサ釣りでは「ヒラメ40、マゴチ20」などといって、アタリが来てから喰い込ませるまでの駆け引きを楽しみますが、ルアーの場合は喰ったら即アワセで乗せてしまうのがセオリーです。
テッパンバイブやテールスピンもおすすめ。クランクベイトも?
20秒も数えていたら放しちゃいますね。よし、これでバッチリ。各種ワームと各種リグを揃えておけばとりあえずどんな状況でも対応できそうですが、ほかのルアーはどうですか?
最近東京湾ではフグ類が増えていて、猛攻に遭うとワームがいくらあっても足りなくなります。そんなときには10g~30gくらいのテッパンバイブやテールスピンジグを使うといいですよ。テッパンはメガバスのオニマル、テールスピンはXクルーが使いやすいです。使い方としては、シーバスを狙う時よりもスローに、ボトム付近をゆっくり泳がすイメージです。
外道というか、ゲストはどんな魚を想定しておけばいいですか?
どっちがゲストかはよくわかりませんが(笑)、よく釣れるのはキビレです。マゴチを狙っていてキビレが釣れることもあるし、その逆もあります。住んでいる場所がクロスオーバーしているんですね。あとはシーバスもよく釣れるし、クロダイもヒットします。
なるほどキビレですか。キビレと言えば、以前クランクベイトで同じようなシャローを攻めたことがありましたよね。マゴチもあんなふうにプラグで狙うことはできるんですか?
クランクベイトが届く水深・・・そうですね、具体的には3m以浅にマゴチがいれば十分可能性はありますよ。もしもそんな希望があれば超シャローをやり切ることもできるので、ぜひリクエストしてください。
何匹か釣って余裕が出たら、ぜひお願いします。それにしても、ワームで食わせてアタリを取ったり、メタル系でスピーディにチェックしたり、プラッギングでストイックに攻めたりと、マゴチもいろいろな楽しみ方があるんだなあ。これも東京湾の魚影の濃さのおかげですね。
東京湾には海苔棚や羽田の滑走路のような、人工ゆえの保護エリアもあって、たくさんの魚がストックされていますからね。ヤップ君もきっといい釣りができるでしょう。ただ、産卵に絡む時期だけに、むやみにキープせず節度を持って楽しんでいただければと思います。
いくら資源が豊富と言っても、調子に乗って釣り過ぎたらあっという間にいなくなってしまいますもんね。いつまでもいい釣りを楽しむため、釣れているときこそ気を付けなきゃってことですね。
■取材・文/高橋大河 Taiga Takahashi
◎INFORMATION
フィッシングプロショップ バスメイト
所在地:東京都大田区東矢口3-6-7
TEL:03-3735-0200
定休日:毎週月曜日
HPアドレス:www.bassmate.co.jp
コメント