【ブリジギング】タックルセレクトからしゃくり方まで

ジギング

身近な近海のジギングターゲットとして人気を集めているブリ。ロッドを満月にする鋭い走り、腕の差が出るゲーム性の高さなど、魅力は満載。基本セオリーを紹介しよう。

この記事を作った人ヤップ!編集部
編集長の大川直を中心に、ヤップ!でオフショア情報を発信する人たち。実態は釣りをメインフィールドとして活躍するプロ集団。それぞれに得意な分野について執筆&撮影して投稿。信頼できる情報を分かりやすく伝える! をモットーに活動中。

東北エリアでキャッチされた立派なブリクラス。フィールドは全国に点在、小型から大型まで人気の高い、我が国を代表するジギングターゲットだ。

身近さと難しさを併せ持つブリジギングの魅力

日本の近海青物ジギングゲームで主役を務める、といっていいほどの人気を誇るターゲットがブリだ。人気の秘密は手軽さ、身近さにある。分布は全国区。北は北海道から、南は鹿児島県まで幅広く生息する。

エリアによってシーズンが異なるものの、全国的にみればほぼ周年狙うことが出来る点も魅力のひとつだ。鋭い走りを見せるスピードランナーでもあり、ここに魅了されるファンも多い。

いわゆる出世魚としても名高く、関東ではワカシ、イナダ、ワラサ、ブリの順に、関西ではツバス、ハマチ、メジロ、ブリの順に出世する。ほかにも地方名は数多い。日本各地で親しまれている証拠とも言えるだろう。

1~2キロクラスのイナダ、ハマチは、入れ食いを堪能できるイージーな状況も珍しくない。そのためジギングの入門魚という位置づけをされることも多いが、状況次第では非常に手を焼くこともある。

低活性のときなどは、明らかに腕の差が出るなどテクニカルな面もあり、ゲームフィッシュとしての価値は高い。ブリクラスを狙うとなれば、フィールドと時期を絞り込まなければなかなかキャッチは難しいのも現実だ。

最初に揃えるならスピニングタックルがおすすめ。複数タックルを用意できれば万全だ。

タックルは最大サイズやフィールド環境によって使い分けが必要

タックルのセレクトは、魚の平均サイズを中心に、水深、使用するメタルジグ、釣り方などによって決定する。ラインでタックルのパワークラスを分けると分かりやすい。

メインラインのPEラインで0.8号から3号まで、リーダーはフロロカーボン製の25ポンドから60ポンドを使用する。1.5号以下のライトラインはイナダ、ハマチクラスがメインのときに使用すると考えるほうが無難。

標準としてはPE2号か3号、リーダーが30ポンドか40ポンド、ロッドは6フィートクラスの近海用青物ジギングロッドとなる。ロッドは100グラムから150グラムを快適にジャークできる、オーソドックスなものが使いやすい。ただし、フィールド環境が多彩なため、その特徴に応じたアレンジが必要だ。

たとえば水深30メートルまでのフィールドで、イナダクラスを中心に狙い、ときおりワラサクラスがまじるという釣りの場合には、ライトなジギングタックルとPE1号前後、20ポンドから25ポンドの組み合わせでも十分に楽しめる。ワラサクラスにイナダクラスがまじって数釣りが楽しめる、というフィールドでは、PE3号に50ポンドのセッティングを用いると快適かつ効率的な釣りが展開できる。

イナダ、ハマチはライトタックルの好敵手。小型でも相手にとって不足はないファイターだ。

利用する船が仕立(チャーター)か乗合かによってもタックルセレクトの自由度は異なる。仲間同士で楽しむ場合には、仲間の了解を得ればライトタックルで大物を狙い、1匹1匹を長時間ファイトして楽しんでも問題はない。

しかし、乗合の場合に、あまりにライトなタックルを使用することおすすめできない。ファイトが長引き過ぎれば他の乗船者に迷惑が掛かるし、結果としてオマツリが多発することにもつながる。乗合の場合は船宿の推奨するタックルを確認し、ここからからあまり外れないような気配りが必要だ。

タックルはスピニング、ベイトともに使用できるが、最初の1セットということであれば汎用性の高いスピニングタックルがおすすめ。ロッドは6フィートクラスの近海青物用ロッドを基本にする。最大のドラグ表示が5キロくらいのものが目安だ。PE1.5号以下を使って楽しむ場合には、ライトジギング用と記されたロッドから選ぶとよいだろう。

慣れないうちはライト過ぎるタックルは避けた方が無難。しっかりジグを動かせるタックルをセレクトしたい。

スピニングリールは5000番から8000番、ハイギアタイプが使いやすい。ベイトリールは使用するラインが300メートル巻き込めるサイズを選択するのが目安となる。使用するロッド、ラインと全体のバランスを考慮してセレクトする。

いずれの場合でもタックルはパワークラスを変えて2~3セット用意しておくと攻め手も拡がる。時合が短いことも多いので、本気で楽しむなら予備の意味も含め込めて複数タックルは必須、と考えておきたい。

ベースとなるのはセミロングタイプ。ウェイトはフィールド環境によって選択し分ける。

ジグはフィールド環境に応じて用意、使い分けることが大切

ジグは多彩に揃えておきたい。重さは水深や潮流の速さ、船の流し方など、フィールド環境によって大きく異なる。30メートルより浅い水深を釣る場合には30~100グラム、100メートル以下の水深を釣る場合には300グラムが必要になることもある。乗船する船がおすすめする標準ウェイトを確認し、その前後で揃えるようにしておくと安心だ。

タイプとしてはスライド幅の調整がしやすいセミロングタイプを中心にショートタイプのジグも活躍する。とくにベイトが小型のときや、スライドするような動きに反応が悪いときはショートタイプにばかりヒットが集中するときもある。ぜひ用意しておきたい。

タングステン製ジグはフィールドによってはマストアイテムとされるほど人気がある。

一般的な鉛製ジグだけでなく、比重の大きいタングステン製ジグ、比重の小さい鉄製ジグなどが活躍するときもある。とくにシルエット、生み出す波動ともに小さいタングステン製ジグは、フィールドによってはメインジグに位置づけられているところがあるほど人気がある。

カラーセレクトは悩むところだが、最初のうちはできるだけシンプルに考えておきたい。おすすめはシルバー系、ピンク系、イワシ系、ブルピンなどの定番色。このあたりを中心に揃えておき、あとは好みで追加しておくと迷いが少なくなる。

フックは1本でも十分だ。とくにワラサ、ブリサイズを狙うときは軸の太い大型フックを使うとバラシが少なくなる。

フックセッティングはフロントにアシストフック1本、もしくは2本をセットするのが基本。小型が多いときや掛かりがどうしても悪いときは2本セットするのが有効だが、通常は1本で十分にこと足りる。とくに根掛かりが多いフィールドでは1本にしておくと、かなり根掛かり率を下げることができる。また、ときにリアにセットしたほうがフッキング率が高いときもある。トレブルフックか短いアシストラインをセットしたシングルフックを装着してみるのも一手となる。

船の流し方や釣り座によってタックルセレクトや釣り方が変わってくることを覚えておこう。

船の流し方の応じた攻略術を覚えておくことが大切

昔から「ブリ場はタイ場」という言葉が伝わる。ブリとマダイの生息する場所は似ていることを示す言い習わしだ。言葉通り、根や瀬そのものが好きなヒラマサ、カンパチと異なり、ブリは起伏が一段落した、少しなだらかな形状を好むようだ。

実際の船上では、こうしたポイントにベイトフィッシュやブリの群れそのものの反応を捉えてアプローチしていくことになる。フィールドや時期、船長の好みなどによって、船の流し方は異なる。スパンカーを立てて船首を風上に向け、ピンポイントで狙っていく方法がひとつ。風や潮に任せて船を流していく方法がもうひとつだ。 

前者は「船を立てる」と呼び、真下にラインが立つこともあって全員がほぼ同様の条件でジギング可能になる。後者の場合は「横流し」「ドテラ流し」などと呼ばれ、風下や潮下ではラインが手前に入ってしまい、やりづらいこともある。

ラインが手前に入り込んでしまう舷の釣り座では、ジグをキャストしてラインが立つ一瞬のチャンスを生かすような工夫が必要となる。

とりわけドテラ流しでは潮上の釣り座になるか潮下になるかで対応が異なる。要注意だ。

反対に風上、潮上ではラインが前方に伸びていく状況になる。ジグをピックアップせずに何度も落とし直していると、ジグが船に引きずられてラインが斜めになり、どんどん底から浮いてしまう。こうなってしまうと底付近がヒットレンジの場合は当然、ヒットは望めない。ラインが斜めになり過ぎてしまうとジグが上手く動かずヒットを遠ざけてしまうことにもなる。

ラインがあまり斜めにならない程度で、落とし直しをストップして回収することが大切。極端な場合は投入ごとに回収したほうが、結果的にヒットにつながることもある。覚えておきたい。ジグを重くして対応する手も有効だ。

いずれの釣り座の場合でも調整の基準は、自分が気持ちよくシャクれているかどうか? 上手くジグを泳がすことが出来ているか? ジグを引く感触で千変万化する海況を読み取り、アジャストしていくことが求められる。これが出来れば中級者の仲間入り、と言えるだろう。

基本はワンピッチジャーク。スピード変化を強く意識した演出を心掛けよう。

ワンピッチ(ワン)ジャークを基本に多彩な演出を繰り出す

アクションパターンの基本は、ワンピッチ(ワン)ジャーク。ロッドを1回ジャークするたびにリールのハンドルを1回転させる方法だ。ロッドを振る力の強弱、振り幅の大小やスピードを変えたりすることで多くのバリエーションを作ることができる。ポーズ(休止)を入れるアクションも効果的だ。ここまででほとんどの状況に対応できると考えていい。

ワンピッチジャーク以外にも大型リールを使っての超高速巻きやスピード変化をつけた、ただ巻きも有効。ロッドを大きくジャークし、その後のフォールを長く取るパターンも効果的なことがある。

どのようなアクションパターンであってもスピードに変化をつけた演出が効果的なことを覚えておきたい。高速巻きからスピードダウン、またはポーズ。大きくジャークしてから細かく動かすなど、トリッキーな演出パターンを武器にするとよい。

ブリのサイズがまじっている群れのなかから大型だけを狙って釣る、そんな方法もある。絶対とは言えないが、速いスピードでのアクションでは小型ばかりがヒットということも多い。大型を釣りたいならスロースピードで海底周辺を狙うことが有効。覚えておいて損はないだろう。

しっかりフッキングするのが基本。走らせても十分にキャッチできるのがブリだ。

大きく力強くフッキングしてバラシを防ぐ

ブリが高活性のときのアタリは、いきなりドンッとロッドが絞り込まれることが多い。活性が低いときはモゾモゾと伝わってきたり、コツッというわずかな感触しかなかったりするときもある。いずれの場合でもジグの後方にブリが追尾してきた感覚が得られるときがある。ジグの後ろの水流に変化が生じるせいだ。いつもとは限らないが、この変化を感じられたらスピードを落としたり、逆に上げたりするとヒットしてくることが多い。覚えておくとよいだろう。

アタリがあったら素早く糸フケを取り、魚の重みを感じたうえでロッドを大きくあおってしっかりフッキング動作を行う。1回、2回程度で大丈夫なので、フックが確実に貫通するように強めに行うことが大切。いきなりドンッと来た場合には、衝撃を感じることもあってアワセを忘れる人が多い。アワセをしないとバラシの大きな原因となる。必ずアワせることを肝に銘じておきたい。ただし、細軸のフックを使ったライトタックルの場合は、軽めのアワセでも十分だ。

10キロクラスのブリになっても、根に走ることはほとんどない。ヒラマサやカンパチなどと違ってライトラインでもキャッチ可能な理由だ。相手が走るときは走らせ、勢いが衰えれば攻撃に転じる。ラインシステムをはじめ各所の結びを確実にしてあれば、ラインブレイクの心配は少ない。もちろん使用ライン強度の1/4程度を目安にドラグ設定はしっかり調整しておくことが大前提だ。

しっかりネットに自分で誘導することが大切。なんとなく寄せて、あとはよろしく! ではミスを招くことが多い。

船縁近くまで寄せたブリは小さければ一気に抜きあげればよい。この場合、ジグの近く30センチ程度に迫るまでリーダーを巻き込んでおくことが大切。巻き込みが足りないと上手く抜き上げることが出来なかったり、ロッドの破損につながったりする。同じく破損につながるロッドの立てすぎにも注意が必要だ。

ライトタックルの場合やワラサ、ブリクラスがヒットした場合にはネットのアシストを仰ごう。最後はしっかり主導権を持ってネットの中に誘導する。これで完璧だ。

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