有望ポイントには多くの遊漁船が集結します。指示ダナを守る、これがサクラマスジギングでは重要です。

ヒットレンジを絞り込む工夫を繰り返すことが大切

サクラマスジギングでは岸から張り出す岬の延長線上や高根の周り、大きく窪んだ海底の周辺など、ベイトを捕食回遊するサクラマスが足を止めるポイント周辺を狙います

とはいえ地形の変化に定着するわけではありません。中層を泳ぎ回っているサクラマスを狙うのが基本です。

船長からの投入指示は海面を基準に測ります。意図した水深までジグを落としてストップ、そこから巻き上げてくるスタイルが基本となります。

まずは幅広く出る船長の指示ダナを守ることが第一となります。指示ダナを外してはヒットまで遠くなるどころか、群れを散らして自らサクラマスを遠ざけることにもなりかねません。

海底付近に生息するタラやホッケなどを釣っていてはポイントも荒れてしまいます。指示されたレンジは死守することが大切です。

指示されたレンジのなかでヒットレンジを探り当てるには、最初は広めにレンジを探り、これを繰り返すなかで自身や他の乗船者にアタリが出たらその周辺を重点的に探り、レンジを絞り込んでいくという工夫が有効です。

サクラマスジギングではジグをしっかり、確実に動かすことが重要

実際の船上では指示されたレンジのなかで、さまざまなアクションパターンを試し、サクラマスを誘っていきます。 細かい演出にこだわる前に注意したいことは、ジグをしっかり動かすことです。ジグをしっかり動かすことは、ヒットまで至らなくともサクラマスを寄せることにつながります。 ジグが発する光や音で、まずは船下周辺に群れの足を止めることが大切なのです。水中に入っているジグの数が多いほうが、群れの足止め効果は高くなります。それゆえサクラマスジギングでは多くの乗船者がいることは決してマイナスではありません。

基本となるしゃくり方はワンピッチジャークです。ロッドを1回ジャークすると同時にリールのハンドルを1回転するのがワンピッチジャークの基本です。

ワンピッチジャークをジャークとフォールに分け、アクションパターンを分けて考えていくと、ヒットパターンを理解しやすくなります。

最も定番とされるパターンは強めのジャークとフォールの組み合わせです。フォールは短く入れます。スピーディーに少しジグが暴れるようなイメージでアピールしていくのがコツです。カタクチイワシがメインベイトになっているときや、サクラマスの活性が高いときなどはこれだけで勝負になる、というストロングパターンです。 ほとんどフォールを入れることなくジャーク&ジャークでどんどん上へと誘い上げるアクションも効果的です。イカナゴ(コウナゴ、メロウド)がメインのベイトフィッシュとなっているときに威力を発揮することが多いパターンです。

フックに掛かってきたイカナゴ。フィールドや時期によっては有力なメインベイトとなります。

綺麗な、大人しめなジャーク&長めのフォール、というアクションが効くときもあります。マイワシがメインベイトになっているときに試してみたいアクションパターンです。

ツノナシオキアミやヨコエビといったプランクトン系の小さなベイトがメインベイトになることもあります。ヒットさせるのが難しい釣りになることも多いですが、細かいジャークによってジグがヒラヒラ舞うように演出するパターンが有効なときもあります。覚えておくとよいでしょう。

以上のように常に捕食されているベイトフィッシュの種類を意識しておくことも大切です。

ヒットレンジを教え合うだけで船全体の釣果は上がっていきます。必然的に自分の釣果もアップします。

サクラマスジギングはチーム船。乗船者全員で情報共有しましょう。

サクラマスジギング船の実際の船上での注意点を紹介していきましょう。

まず船を流し替えるたびに船中ヒット第1号になることを心掛けます。めでたく第1号となれば、ヒットした水深を周囲のアングラーに伝えるようにしましょう。そうすることで周囲の人がヒットさせる確率を上げることができるからです。

残念ながら自分が第1号になれなくても、周囲のアングラーがヒットさせた水深を教えてくれる関係を築ければ、船中の釣果は自然と上がっていきます。

船の下にいるサクラマスの群れの移動を止め、みんなでなるべく多く釣っていくイメージです。ジグが群れのなかで動いていたり、誰かがヒットさせてやり取りしていれば群れは足を止めることが多いのです。

自分だけ釣ろうとすると逆効果となることが多いのがサクラマスジギングの特徴。サクラマスジギングはチーム戦と言われる由縁です。

乗船者が多いことはサクラマスジギングでは決して悪いことではありません。実際に誰か1人がヒットさせると連続ヒット! となることはとても多いのです。船下に留まっているサクラマスの群れに対し、その日その時に有効なアクションをジグに与えられればヒット! となるわけです。

しゃくり方だけを真似してもタックルが異なっていては本当の真似にはなりません。タックルの特性を理解しないと本当の真似にはならないことに注意しましょう。

釣れている人をよく観察してアクションパターンを真似ることはテクニックのひとつです。釣っている人が使用しているロッドの硬さ、リールのサイズとギア比、ジグの種類と重さまでチェックできれば完璧です。

これらの違いによってジグの動きが変わってしまうからです。それらのデータを基に自身のタックルで調整して真似るのは、実はなかなか難しいことでもありますが挑戦する価値は十分にあります。

ちなみに近くの人がヒットさせたとき、<教えてくれた水深から上を探るのが基本となります。サクラマスの群れより下にジグを落としては群れを下方向に散らす原因になります。上へ上へと少し速めの動きでアピールすると効果的なことが多いので覚えておきましょう。

船縁まで寄せたら一気に勝負を決めましょう。あまり泳がせているとバラしやすく、危険です。

ジャンプに注意すれば、あとは鋭い引き味を堪能するだけ

アタリの出方は明確にガツガツと出たり、いきなり走り出したりすることもありますが、反対にフワッと食い上げることも多いのが特徴です。

いずれの場合でも大きくロッドをあおる必要はありません。<リールを巻いてアワせる、いわゆる巻きアワセで十分です。

<ドラグ調整を万全にして、ラインテンションを緩めないことに注意すれば、ファイトに関してそれほど難しいところはありません。

相手が走るときは無理に巻かない。こちらに向かって走ってくるときは急いで巻いて糸フケを作らない、という基本を守れば十分にキャッチできます。

スピードのある鋭い走りはとてもスリリング。3kg、4kgクラスとなれば重量感もなかなかのもの。ハラハラ、ドキドキを存分に味わうことができるでしょう。

とはいえ<バラシが多いのはサクラマスジギングの特徴でもあります。スレ掛かりでバレるのはどうしようもない部分が多いのが現実。口に掛かったものもバレるものはバレる、と開き直るくらいでいいでしょう。

バラシ対策のひとつは、<なるべくジャンプをさせないファイトをすること。サクラマスが水面に向かって走るなど、飛びそうだ、と感じたらロッドを下に向け、一瞬だけ、少しラインテンションを緩めるとよいでしょう。ただしテンションを緩めるのは一瞬だけ、ジャンプが防げたら通常通りに緩めないように注意します。

口周りが柔らかく、スレ掛かりも多い魚だけに、バラシが心配であれば少しドラグを緩めに調整しておくのも一手です。

不意にヒットする10kgオーバーのマスノスケ(キングサーモン)の可能性もあるので用心しておくに越したことはありません。

サクラマスジギングは一桁釣果が基本の釣り。それだけに1匹は大切。最後はしっかりネットで掬ってゲームセット! が基本となります。

船下に突っ込むサクラマスに対しては身を乗り出し、ロッドを海中に突っ込んでしのぎます。

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