ジグ用のフックにはさまざまなタイプがありますが、その体系は意外にシンプル。フックの種類とセッティングの基本を知り、フックシステムを絞り込んでみましょう。
この記事を書いた人高橋大河(たかはし・たいが)
1980年代より釣り雑誌、釣り具メーカーに関わる各種メディアで活動するフリーライター。専門は淡水・海水のルアーフィッシング。入門向けからマニアックな記事まで幅広く執筆する。雑誌「ソルトワールド」元編集長。「ルアーフィッシングをはじめよう」(山海堂)ほか著書多数。
オフショアジギングでのメインはシングルフック。トリプル、フォースもあり
ルアーフィッシングに使われるフックは、シングルフック、ダブルフック、トリプル(トレブルも同義)フックの3タイプがメイン。
このうちジギングに使うのはトリプルフックとシングルフックです。ダブルフックを使うことはほぼありません。
シングルフックとトリプルフックを比較した場合、ジギングでは圧倒的にシングルフックが使用される釣り、ターゲットが多いです。
トリプルフックが主流の時代もありましたが、現在のトリプルフックはタチウオやサワラなど一部のターゲットに対する有効性が認められつつも、ジギング全体のなかでは限定的なアイテムと言えるでしょう。
変わったところでは、トリプルよりさらにハリ数が1本多いフォースフックや、フックとブレードを組み合わせたブレードフック、鳥の羽根や魚皮を巻き付けたフックなどがあります。
後述するセッティング方法にもいろいろなパターンがありますが、シングルフックを基本にしておけば、たいていのジギングはカバーできると思って間違いありません。
フックの取付け位置はフロントが基本。リアフックはフォールバイトに有効
メタルジグにはフロント(ヘッド)とリア(テール)に、フックを付けるためのアイがあります。
もっともシンプルなのはフロント側のアイにシングルフックをセットする方法ですが、フロントとリアの両方にシングルフックを付けることもあれば、フロントにシングル、リアにトリプル(またはその逆)を付けたりすることもあります。
フロント側にフックをセットするメリットは、後ろから追尾し反転してベイトフィッシュの頭から捕食する青物などに有効なこと。ボトムを攻めても根掛かりしにくいことと、テール側にフックの抵抗がないためジグアクションにキレが出ること。テーリング(エビともよばれる)というリーダーとリアフックが絡むトラブルを避けられることなどが挙げられます。
ロングジグを使用したり、魚がリアにアタックしてきたりするケースで、フロントだけではハリ掛かりに問題があるときはリアフックを併用します。
スロージギングでは前後にシングルフックを2本ずつセットするのが基本スタイル。これはヒット率を上げる、というよりもフックの抵抗を利用してジグの姿勢をコントロールするという目的が大きいです。
フロントとリアの併用はジャーク中にテーリングを起こしやすいデメリットがあるものの、後方からのバイトやフォーリングでのバイトには対処しやすくなります。
また、食い渋りなどで掛かりが浅いときにもリアフックは有効であり、エリアや船頭さんによっては「フロントフックとリアフックの併用」を推奨しているケースも多く見られます。
リアフック自体は近年、フロントフックの補助的な役割で使われることが多いフックです。
シーバスジギングでは昔からリアフックが使われてきましたし、サワラやタチウオのように歯の鋭い魚を釣る際には、あえてリアフックにして魚の歯をリーダーから遠ざけ、ヒット後のラインブレイクを防ぐことがあります。
リアフック単体で使うケースはそれほど多くはありません。
ジギングフックは2本までがおススメ。多ければ良いというものではない
フックの本数は一か所につき2本までがオススメです。ハリがたくさん付いているほどハリ掛かりが良さそうに思えるかもしれませんが、実はそうでもないのです。
フックの本数が多いほど魚の口にハリ先が触れる確率が高くなるのはたしかですが、いざそれを貫通させるとなると力が分散し、深く刺し貫くことは逆に難しくなることもあります。
フックの数が多すぎるとジャークの際にフック同士が暴れて絡むトラブルも多発します。
ファイト中に遊んでいるフックが魚体に掛かり、巻き上げるのにとても抵抗が大きくなってしまう場合もあります。大型魚を狙う場合にはとても大きなマイナスポイントなので、フックの数を減らすのが一般的です。
フックの数が多すぎると魚に必要以上のダメージを与えてしまうこともあります。釣った魚をキープするなら問題ありませんが、リリースの可能性があるときは配慮したいところですね。
まとめ フックシステムはできるだけシンプルに
ジギングで使用するフックはシングルフックをフロントに1本、多くても2本までのセッティングが基本。
それだけではハリ掛かりしない場合や対象魚によっては適宜リアフックを追加したりしますが、必要な範囲内でできるだけシンプルにするのがベター。
ハリ数を増やすことによってライン絡み等のトラブルが起こりやすくなり、ハリや根付糸(アシストライン)の抵抗でジグの動きがある程度制限されてしまうからです。
ただし、スロージギングスタイルのように抵抗を逆手にとって、ジグの水中姿勢をコントロールしたり、ジグの過剰な動きを抑えたりすることも可能です。
対象魚の生態、ジギングのスタイル、トラブルへの対応などを考慮して、ベストなフックセッティングを行えば、釣果もアップするはず。
ぜひ試行錯誤を繰り返してベストなセッティングに辿りついてください。
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