東京湾のタチウオは、いまや年間を通じて狙える人気の釣りもの。もちろん春も例外ではない。日々刻々と進化する東京湾の攻略法、その傾向と対策を池貝店長が伝授!
本記事ではアフィリエイトプラグラムを利用しています。
釣り経験はあるものの、ビギナーレベルから抜け出せずにいる30代男性。オフショアゲームでエキスパートを目指すべく奮闘中。東京都在住。
徳永兼三(とくなが・けんぞう) 東京都大田区でプロショップ『BASS MATE』を経営するエキスパートアングラー。バスフィッシングからマグロ、GTといったビッグゲームまで幅広くこなし、国内外のフィールドに精通。これまでに数々のレコードフィッシュを釣り上げている。
池貝雅俊(いけがい・まさとし) バスフィッシング、シーバス、近海のオフショアなど関東周辺のルアーゲーム全般に造詣の深いバスメイトの店長。タックルに関する知識も豊富で、店内で扱う商品在庫のすべてを把握していると言っても過言ではない。
東京湾で春に狙えるターゲットは?
池貝さんこんにちは! いよいよ春本番ということで、次はサワラを狙ってみようと思っているんですが釣れていますか?
ヤップ君こんにちは。それは良いところに目を付けましたね・・・と言いたいところですが、実は東京湾のサワラが釣れるのは春ではないんですよ。
え、なんで? 『魚ヘンに春』と書くくらいだから旬は春でしょ? それに東京湾のサワラって、ここ数年よく耳にしますよね。
それは間違いないですし、盛り上がってもいますが、東京湾に限って言えば旬は春ではなく、むしろ秋。最近はイナダと一緒にサゴシの群れが入ってくることもあります。冬は1月から3月にかけて湾口部を中心に回遊が見られますが、どちらも神出鬼没でムラがあることに変わりはありません。
これから春に狙うなら歯の鋭い魚つながりでタチウオなんかいかがですか。
タチウオですか? それこそ冬と夏の釣りってイメージなんですが、春も釣れるんですか。
たしかに以前は冬と夏の釣りものでしたよね。でもほかの季節にやっていなかっただけで、いまは春の釣りも確立されています。年によって多少の差はありますが、釣りものとしては安定していると言えるでしょう。
春夏秋冬で釣り方等に違いというか、特徴はあるんですか?
あくまでも傾向ですが、総体的に夏は比較的浅場の釣りが多く、冬はポイントが深くなるという違いはあります。春シーズンだと浅ければ30~40m、深いと60~70mを狙うことが多いかな。
釣り方はジギング。刻々と変化するヒットパターンに対応すべし
どっちにしろベースはジギングと思っていいですよね。
はい。レンジがごく浅いときはワインドなどで攻めることもありますが、基本はジギングですね。
春夏に釣れるタチウオのサイズやコンディションは、冬に比べてどうなんですか?
全体的には冬のほうが、デカいのが揃う傾向はあります。ただ、春や夏でも大型はヒットしますよ。これも群れ次第ですが。
池貝さんはタチウオジギングもベテランだから、タックルやジグはバッチリですね。
それが最近はヒットパターンが年々変わっちゃって・・・。一番変わったのはタングステンジグがトレンドになっている点です。タングステンは沈むのが速いし、シルエットも小さいというのがその理由です。
もしかして、船宿によっては鉛のジグ禁止とか?
いまのところそこまではないですが、釣果には明らかな差がつくことがあります。
そうなんですか。タングステンジグで全部揃えると出費も大変だけど、釣れないのも困るなあ。う~ん。
それとジグのアクションも、いまはタダ巻きやソフトなジャークが主流です。私のようなアナログ人間はどうしてもしっかりとジャークしたくなってしまいますが、ジャークしたら食わないと言われるほどです。
あの手この手で誘ってこそジギング。そこはベテランの腕の見せどころじゃないんですか!
そうなんですけどね。逆に長くジギングをやっている人ほど釣れないこともあるんですよ。
なるほど、流れとしてはタングステンジグ&タダ巻(ソフトなジャーク)きがキーワードなんですね。タックルはベイトでいいですか?
はい、ベイトタックルで、ロッドはいわゆるライトジギング用。使うジグは60gから200gくらいまでなので、それらをできるだけ広くカバーできるものを選んでください。タダ巻き専用なら柔らかめのロッドが良いですが、それは2本目以降に検討すればいいでしょう。ワインドをやる可能性があるならスピニングタックルも必要です。
初めてならラインはPE1号がオススメ
リールは何を基準に選べば良いですか?
リールの前にラインの話をしましょう。ラインは基本、PE1号をお薦めしています。それより細くてもかまいませんが、0.8号以下は扱いもデリケートになって、1号なら耐えられるちょっとした傷やダメージでも、結び替えが必要になってしまいます。最初は1号から始めて、細いラインはやっていくなかで必要性を感じてから試せばいいでしょう。船宿さんによっては号数が指定されているケースもありますので、事前に確かめてくださいね。
たしかに0.8号と1号って、たった0.2号の差ですけど全然違いますもんね。ではラインは1号にするとして・・・
リールはいわゆる小型の両軸タイプでラインを200m以上巻けるキャパがあり、かつ十分な巻き取りパワーがあるものが理想です。
キャパはともかく、巻き取りのパワーはカタログの数字からはわかりにくいですよね。どこを見て判断したら良いですか?
同じリールなら番手が大きいもののほうがパワーがありますし、グレードの高いものほどボディやギアの剛性があると言えます。パワーを売りにした製品もありますので、そういったところに注目してみてください。
最近はルアー用のリールにも、水深表示のカウンターが付いているものがありますよね? あれはどうですか。
水深はラインのカラーである程度把握できるので、カウンターがなくても釣るうえで問題はありません。ただ、ヒットレンジがより正確にわかるのは大きなメリット。ビギナー、エキスパートを問わず、あれば便利な機能だと思います。
ところで池貝さんは、リーダーはどうしてますか? やはり太くしたほうが安心ですか。
私の場合というか、一般的にフロロの30lb~40lbをメインに、消耗が激しいときは先糸として50~60lbを結ぶことが多いですね。もちろん太いリーダーを通しで使うのもアリですが、逆に30lbより細くしても切れやすくなるだけで、メリットはないと思っています。
ジグはタダ巻きでよく泳ぐタイプが使いやすい
ジグはタングステンが主流ということでしたが、重さや形状についてもう少し詳しく教えてもらえますか。
重さは水深次第です。20m台では60g~80g、40mで100g前後、60~70mでは120g~150gを目安にしてください。それよりさらに深かったり、潮流が効いていたりすれば200gまで必要になることもあります。タダ巻き中心ということもあって、リーリングでよく泳ぐものが使いやすいですね。
なにかオススメのジグはありますか?
ド定番はダイワのTGベイト。タチウオ専用カラーも出ています。新しいところでは今春発売予定のMASHIOジグ・マスタング等もタングステン製で沈みが速く、期待しています。
カラーはどんなものを持っていけばいいですか?
ヒットカラーは状況次第で変わりますが、最初からすべてに対応するのは難しいと思います。まずはアカキン、オールピンク、パープルなどの定番カラーを中心に揃えて、そのあとでオールシルバーやグロー系など、少しずつバリエーションを増やしていけば良いでしょう。
フックシステムは普通のジギングと同じで良いですか?
フックシステムに関しては、オマツリした際にラインを傷めないようになどの理由でルールを設けている船宿もあるので事前に確認が必要ですが、一般的にはフロントにタチウオ専用のアシストフック、リアには細軸バーブレスのトレブルフックをセットするのが標準です。個人的には、資源保護や釣れすぎた分のリリースを考えて、フロントフックのみやリアフックのみといったワンフックシステムも模索しています。
フック1本だと釣果が激減したりしませんか?
アタリはあっても乗ったり乗らなかったりで、一喜一憂することはありますが、フックプレッシャーが少ないせいか、ほかの人よりアタリが多いと感じることもあります。1本1本を楽しむつもりでやってみると、意外にテクニカルで面白いですよ。個人的にはそんな遊び方も試していますね。[/speech_balloon_right1]
ボクは当面釣果最優先でフロント・リア両方にセットしてみます。もちろんタングステンジグ&タダ巻きのトレンドにもしっかり乗らせてもらいます。でも鉛のジグや、しゃくって食わせる釣りもやってみたいなあ。
大丈夫ですよ。いまの東京湾ではそれがトレンドというだけで、従来のジギングを楽しむことも普通に出来ますし、東京湾以外のフィールドに足を延ばしてみるという手もありますからね。ある程度マスターしたらいろいろな釣り場に足を運んで、その土地ならではのタチウオジギングを楽しんでみてください。
■取材・文/高橋大河 Taiga Takahashi
◎INFORMATION
フィッシングプロショップ バスメイト
所在地:東京都大田区東矢口3-6-7
TEL:03-3735-0200
定休日:毎週月曜日
HPアドレス:www.bassmate.co.jp
コメント