タイラバでスピニングタックルは使えるの? 船上からバーチカルにマダイを狙うことが多いタイラバゲームでは、ベイトタックルの使用が基本。ビギナーの最初の1本としても、間違いなくベイトがオススメ。しかし2本目、3本目と考えたときにクローズアップされるのがスピニング。その利点と出しどころを検証しよう。
この記事を書いた人高橋大河(たかはし・たいが)
1980年代より釣り雑誌、釣り具メーカーに関わる各種メディアで活動するフリーライター。専門は淡水・海水のルアーフィッシング。入門向けからマニアックな記事まで幅広く執筆する。雑誌「ソルトワールド」元編集長。タイラバ、インチクなどを使った釣り「漁具ING」を世に広めるきっかけを作った張本人。「ルアーフィッシングをはじめよう」(山海堂)ほか著書多数。
スピニングとベイトの違いを知っておこう
一般的にスピニングタックルとベイトタックルを比較した場合、「スピニングのほうが、扱いが楽」とされています。タイラバに限らず多くの釣りで、初心者の最初のタックルとしてスピニングを勧められることが多いと思います。
その理由は、スピニング特有の汎用性の高さにあります。投げることも落とすことも簡単にでき、ハゼやキスを釣るライトタックルからマグロやGTを釣るヘビータックルまで幅広く使えます。これはベイトにはない特徴です。
しかし、タイラバで使うことを考えた場合はベイトタックルのほうが有利なケースが大半。クラッチ操作ひとつでフォールとリトリーブを瞬時に切り替えることができ、巻き上げもスムーズかつパワフル。むしろ、フォールのたびにベイルの開け閉めが必要なスピニングは、手返しの面で不利とさえ言えます。
タイラバでスピニングタックルが活躍するシーン
スピニングのメリットがどこにあるのか?
真っ先に思い浮かぶのはやはりキャスティング性能。タイラバゲームでは、ひたすらバーチカルに船下を攻めるだけではアタリが取れないケースがままあるからです。
水深が浅いポイントや、平坦な地形がダラダラと続くポイントでは、キャストして横方向に広範囲をトレースすることが、マダイと遭遇する確率を上げることにつながります。このスタイルはキャスラバとも呼ばれます。
潮の流れが緩く、船がまったく流れない状態でも活躍が期待できます。こんな状況では同じ場所に延々とタイラバを入れ続けることになり、低活性とスレが相まってますますアタリが遠のきます。タイラバをキャストして新しいスポットに入っていくようにすると、フレッシュなマダイに出会う確率を高めることが可能です。
タイラバでは釣り座によって有利、不利が出てしまいがちですが、そんな時でも軽く投げて探る筋をずらせば、フレッシュな魚に出会えるかもしれません。ベイトリールでもキャストすることは可能ですが、スピニングに比べて難しいことは否めません。
ほかにもスピニングはベイトに比べてドラグの微調整がしやすいため、より細いラインを使えるという利点もあります。さきほど挙げたような低活性の状況はもちろん、逆に潮が速すぎるときやドテラ流しなど、細いラインで抵抗を減らして確実に底を取るという使い方も可能なのです。
ドテラ流しで潮の流れが非常に速いときは、真下に落とすだけでは底を取る回数が少なすぎるときもあります。とても限られたケースですが、ミヨシやオオドモなどの釣り座ではスピニングタックルを使って潮上にキャストして落とすと、底を取り直す回数を増やすことが可能です。
このようなことから、タイラバゲームにおけるスピニングの出しどころは、
①キャスティングを併用した広範囲攻略が有効なとき
②潮止まり前後の低活性時
③ドテラ流しをはじめ、よりフリーに近い状態でラインを送り出したいとき
ということになります。
まとめ タイラバでスピニングを使う意味をよく考えよう
タイラバゲームにおけるスピニングタックルは、ただ扱いが楽だからという理由ではなく、明確な目的を持って戦略的に使うタックル、ということができると思います。
ここでスピニングタックルがあったら…、というシーンを経験したら、2本目、3本目のタックルとして選択肢に入れてみると良いでしょう。
スピニングリールを選ぶ際は、ラインキャパシティを十分に考慮してください。
ベイトリールと違い、ラインを放出してスプール残量が少なくなるほど、飛距離もフォールの効率も落ちるのがスピニングの特徴。ロッドとのバランスで言うと3000番から4000番サイズが標準ですが、釣り場の水深を考慮のうえ、余裕を持って対応できるサイズを選んでくださいね。
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